労働力人口の減少により採用競争は年々激化しており、優秀な人材を採用することは企業の成長や優位性の確保に直結します。そんな中で、
「採用部門の人員が少なく業務負担が大きい」
「採用業務を効率化したいが何をすべきかわからない」
といった課題を抱える担当者は多いでしょう。
本記事では、採用業務を効率化する方法や具体的なおすすめのサービスなどについて詳しく解説します。
経営資源の一つである「ヒト」を獲得する採用業務は、企業が成長するために非常に重要な役割を担います。主に次の3つの理由から、企業では採用業務の効率化が重視されています。
コスト削減のため
優秀な人材を獲得するため
業務負担を軽減するため
採用活動には、採用担当者の人件費はもちろん、求人広告費や人材紹介費など多くのコストが発生します。これらのコストは、採用が長期化するほど雪だるま式に増えていくため、企業の利益を圧迫する要因となりかねません。
また、採用担当者が費やす時間もコストの一部です。時間は可視化されにくいコストですが、担当者が採用業務にかける時間が増えれば、その分他の業務に割けるリソースが減少し、結果として企業全体の生産性が低下するリスクがあります。
これらのコストは、採用業務を効率化することで大幅な削減が期待できます。
例えば、オンライン面接の導入により、面接会場へ赴く時間を含めた面接対応者の拘束時間や、面接会場を確保するための費用の削減が可能です。また、面接予約の自動化ツールの導入により、日程調整で生じる人的ミスを減らしつつ作業の効率化を図ることができます。
効率化により内定までの期間が短くなれば、内定辞退を防ぐことにもつながるでしょう。内定辞退者が減少することで、採用活動を行う期間も短縮され、余分な採用コストを削減することにもつながります。
採用業務の効率化を通じて金銭的・時間的なコストを抑えることができれば、企業はその分他の重要な事業活動や社員のスキルアップなどに投資することができるようになります。結果として、企業全体のパフォーマンス向上にもつながるでしょう。
人手不足が深刻化し売り手市場である昨今は、優秀な人材を獲得するためにも採用業務の効率化は欠かせません。優秀な人材ほど複数の企業を検討し内定を受ける傾向がありますが、採用過程に時間がかかりすぎると、求職者が他社に流れてしまう懸念が高まります。また、効率が悪くスピード感に欠ける採用過程は、企業自体の印象を悪くしてしまう可能性もあります。
採用業務を効率化し、スピード感をもって採用活動を進めることで、優秀な人材を迅速に見つけ出し、他社に先駆けて人材を獲得することが可能になるでしょう。
例えば、AIを活用した履歴書のスクリーニングや、オンラインテストを用いたスキル評価などを導入することで、採用過程全体を迅速化・効率化させることが可能です。
採用業務の効率化は、優秀な人材を他社に先駆けて確保し、企業全体の競争力を強化するための重要な手段といえるでしょう。
採用業務には、求人票作成や応募者管理、書類選考や面接など、多岐にわたるタスクが含まれます。業務量の多さが担当者の大きな負担となり、時間外労働が慢性化してしまうことも少なくありません。限られたリソースの中で採用担当者がより重要な業務に集中するためにも、採用業務の効率化は重要です。
例えば採用業務は、採用戦略など成果に直結するコア業務と、庶務にあたるノンコア業務に分けることができます。業務の自動化や外部委託によりノンコア業務を効率化し、採用担当者が抱える業務負担を軽減することが可能です。
ノンコア業務を効率化することで、採用担当者はコア業務に集中できるようになります。新しい採用戦略の立案や会社説明会の実施などといったコア業務は、自分の仕事が直接的に成果に結びつくことを実感しやすく、仕事に対するやりがいや達成感が高まる傾向にあります。そのため採用担当者のモチベーションが向上し、結果的に採用活動全体の質の向上も期待できるでしょう。
採用コア業務 | 採用ノンコア業務 |
・採用戦略立案 | ・求人票作成・スカウトメール配信 |
多くの企業が採用業務の効率化をめざしているものの、実際にはいくつかの課題が存在します。採用業務の効率化を阻む主な課題は以下の3つです。
応募者や関係者とのコミュニケーションが多い
システム化しにくい業務が多い
採用手法が多様化している
まずはこれらの課題を理解し、適切に対処することが重要です。
採用過程においては、応募者はもちろん、面接官やその他関係者との連携が不可欠です。そのために、メールや電話、オンラインツールなどによるコミュニケーションが頻繁に行われます。例えば、面接の日程調整や面接評価の社内共有、内定通知など、各選考ステップで多くのやりとりが発生します。このように採用活動においてはさまざまな関係者とのコミュニケーションが多く必要になる点が、採用業務の効率化を阻む一因です。
さらに、応募者一人ひとりの状況や希望を考慮しながらコミュニケーションを取る必要があり、全体調整をしながら、かつ各応募者に対してきめ細やかな対応をしなければならないため、業務負担が大きくなりがちです。
特に大量採用のシーズンや急募案件では、担当者の負担が一層増すことがあり、業務の効率化が困難なこともあるでしょう。
採用業務の中には、応募者への個別対応や、面接実施、採用判断など、システム化が難しい業務が存在します。
例えば、面接時の候補者の態度や表情、コミュニケーション能力などの「人間的な要素」を評価する部分は、AIやシステムでの代替は難しいでしょう。また、採用の最終判断においては、企業文化やチームとの相性についても見極める必要があり、同様にシステムに判断を任せることができない領域です。
さらに、採用業務は企業ごとに求める人材条件や採用手法が異なるため、標準的なシステムでは対応しきれない部分も多くあります。仮にシステムを導入したとしても、自社に合わせたカスタマイズ設定や作業などに手間や稼働を取られて、大幅な業務の効率化には繋がらない可能性が高いと言えます。
近年の採用手法の多様化も、採用業務の効率化を難しくしている要因の一つです。
従来の求人広告やハローワークに加え、ソーシャルメディアやリファラル採用(社員からの知人紹介)、インターンシップなど、採用手法は多岐に渡ります。それぞれの手法によって過程や対応が異なることが多く、一律のシステムやフローで管理することが困難です。
多様化する採用手法に対応するためには、担当者は柔軟な思考と対応力が求められます。
採用業務の効率化は、企業の成長や競争力を維持・向上するために重要な要素です。採用にかかる時間とコストを削減し、優秀な人材を確保するためには、自社に合った効率化の方法を取り入れることがポイントです。ここでは、採用業務を効率化するための具体的な方法として、以下の6つを紹介します。
採用過程の見直し
採用基準の統一
コミュニケーションの自動化
選考のオンライン化
ITツールの導入
アウトソーシングの活用
採用業務の効率化を図るためには、まず採用過程全体の見直しが不可欠です。
採用業務は、大きく以下のフローに分けられます。
採用計画/採用戦略立案
母集団形成
応募受付
書類選考/面接
内定対応
採用過程の長期化が、業務効率化の妨げとなっている企業も少なくありません。採用活動の各ステップを細かく見直し、どこに無駄が生じているのか、どの部分が特に時間を要しているのかを明確にすることが第一歩です。
例えば、応募者の対応に工数がかかっているなら、人員を増やす、使用している求人媒体を見直す、応募受付の自動返信ツールを導入する、などが対策として挙げられます。
部署ごとや面接官ごとに異なる基準が適用されていると、情報共有や選考結果を出すために無駄な時間を使ってしまう原因となります。実際に現場が求める人材と採用担当者が認識している人物像が異なると、採用の意思決定が遅れたりミスマッチが発生したりするリスクが高まるでしょう。
統一された採用基準を設けることで、選考の一貫性が保たれ、効率的かつ公正な採用につながります。また、候補者に対しても透明性を持って評価基準を提示できるため、企業に対する信頼感が向上します。
採用基準を統一するには、評価シートのフォーマットの作成がおすすめです。できるだけ具体的かつ測定可能な評価項目を設定し、速やかに結論を下せるよう準備しておくことがポイントです。採用関係者の間で一貫した基準を用いることで、採用業務の効率化を図ることができると同時に、求める人材を適切に採用することが可能になります。
採用業務において大きな負担となりがちな、応募者や関係者とのコミュニケーションを効率化するためには、自動化ツールの導入が効果的です。
例えば、メールの自動返信機能を活用することで、応募者からの問い合わせや応募完了時の通知を迅速に行うことができます。また、システムにより面接の日程調整も自動化することができます。従来、面接の日程を決定するには、応募者と面接官のスケジュールを調整するために複数回のやりとりが必要でした。しかし、自動化ツールの導入によって、これらのやりとりをシステムが自動で行い、候補者が都合の良い日時を選択できるようになります。これにより、面接の日程調整にかかる時間が大幅に短縮され、採用過程全体の効率化につながります。
工数がかかりがちなコミュニケーションを自動化することで、手作業で対応する時間を大幅に削減でき、採用担当者は採用戦略などより重要度の高い業務に集中することができるでしょう。
選考過程のオンライン化は、採用業務を効率化するにあたって欠かせない要素です。例えば、面接をオンライン化することで、移動にかかる時間やコストを削減することができます。
オンライン面接を導入することで、候補者は自宅やオフィスから簡単に面接に参加でき、企業側も会議室の予約や面接官の移動を手配する必要がなくなります。これにより、面接のスケジュール調整が容易になり、採用過程全体がスムーズに進行します。
また、オンライン化によって地理的な制約がなくなることも大きなメリットです。遠方に住んでいる求職者も面接を受けやすくなり、求職者の幅を広げられるため、より優秀な人材を採用できるチャンスにつながるでしょう。
これまで人手で行っていた業務のなかで、ITツールに任せられる業務があればツールを導入するのもおすすめです。近年、多くの企業がITツールを活用し、採用業務の効率化に役立てています。
例えば、採用管理システム(ATS)は、採用業務をまとめて管理できるツールです。求人情報や履歴書・職務経歴書などの求職者の情報をはじめ、選考の進捗や面接官の評価などを管理することができます。中には、蓄積された情報をもとにしたデータ分析機能が搭載されている採用管理ツール(ATS)もあり、導入することで採用業務の大幅な効率化につながります。
採用業務の一部をアウトソーシングすることも有効な効率化の手段です。
アウトソーシングの主なメリットは、ルーティーン業務の負担を軽減できることです。例えば、応募者のスクリーニングや面接調整など、時間と労力を要するルーティーン業務を外部に委託することで、自社の採用担当者がコア業務に集中できる環境が整います。
また、採用人数が多い場合や専門職を採用する場合は、採用に特化したアウトソーシングを活用することで、専門知識を持つ外部のプロフェッショナルの力を借りることが可能です。特に、採用倍率の高いIT分野やエンジニアリングなどの採用では、特定のスキルや業界に関する知識が求められるため、内部リソースだけでは十分な対応が難しいことがあります。外部の専門家に任せることで、より適切な候補者を選定でき、採用の質も向上するでしょう。
アウトソーシングの場合、採用の規模や時期に応じて依頼する事業内容を調整することができるため、無駄なコストを抑えつつ、必要な時に必要なリソースを確保することができます。
採用業務において、ルーティーン業務の負担を軽減したい場合や、バックオフィス業務全体にリソース不足の課題がある場合は、NTT印刷株式会社が提供するカチアルサポートがおすすめです。
カチアルサポートは、さまざまなバックオフィス業務を必要な時に必要な分だけ、厳選されたスタッフに依頼できるサービスです。
カチアルサポートでは、求人媒体リサーチや、面談調整、応募者応対など、スカウトメール送信、入社手続きなど、採用業務のなかで稼働がかかり負担の大きい業務を依頼することが可能です。これらのノンコア業務をカチアルサポートに依頼することで、自社の社員は採用戦略の検討や内定者のフォローなどのコア業務に注力できるようになり、結果的に採用活動の成果向上につながることが期待できます。
また、採用支援オプションでは、「応募者が集まらない」・「人材の定着率が低い」・「コストと結果が見合わない」といったお悩み・課題の解消を、周辺事務作業の負担軽減も含めてご支援します。
求人媒体の選定・登録・求人掲載・更新作業から、応募者応対・面談調整といった業務負担軽減まで、サポートします。
採用業務の他にも、経理・営業事務・秘書・クリエイティブなど、幅広い業務に対応可能です。カチアルサポートでは、依頼業務は自由に組み替えることができるため、採用業務と合わせて他のバックオフィス業務をアウトソーシングすることで、さらなる効率化や人手不足解消が期待できます。
本記事では、採用業務の課題や効率化する方法などについて解説しました。記事のまとめは以下のとおりです。
<記事まとめ>
採用業務を効率化することで、業務負担の軽減はもちろん、コスト削減や優秀な人材確保につながる
採用過程の見直しや自動化、ITツールの導入など、自社に適した効率化施策を進めることが大切
手間やコストを抑えて効率化したい企業はアウトソーシングの活用がおすすめ
採用の効率化を図るにはさまざまな手法がある一方で、どのような方法を選ぶべきかは企業によって異なります。まずは自社の課題を見極め、適切な選択を取るようにしましょう。
売り手市場の昨今において、採用業務の効率化を図ることで採用業務の質が向上し、より優秀な人材を獲得することにもつながります。企業の成長を支える強力な採用体制を構築できるよう、効率化の第一歩を踏み出してみましょう。