近年では「働き方改革」の実施により残業に対する規制も厳しくなってきました。
しかし政府が残業削減を推進する一方で「社員の残業がなかなか減らせない」と頭を抱える方も多いのではないでしょうか。
本記事では残業が慢性化する理由と残業を削減させるための8つの方法について解説します。
そもそもなぜ残業は慢性化してしまうのでしょうか。主な原因として、以下の5つが考えられます。
業務過多
能力に見合わない業務内容
業務の属人化
不十分な勤怠管理
残業が評価される社内文化
適切な業務量の配分が行われていない場合、社員は業務を終わらせるために定時を超えて働くことを余儀なくされます。また人手不足によって一人の社員に対する業務量が過剰になっているケースも見られます。
残業ありきの業務量の場合、トラブル発生時にはより負担が重なり、業務遂行の遅延や品質の低下につながる場合もあります。
残業の発生自体が悪ではなく、残業の積み重ねによる業務品質の低下についても意識を傾けるべきでしょう。
人間である以上、一人ひとりの能力には、得意・不得意が存在します。個々の社員の適正に即した業務の振り分けはできているでしょうか。
社員の特性に応じた業務の振り分けが適切でない場合は、生産性の低下の温床となり得ます。
社員の稼働に期待する出力は、適性を見極めることで良くも悪くも変動します。生産性の低下は残業稼働の増大につながり、人件費の増加や、社員の離職の動機にもつながります。
属人化とは、特定の社員のみが業務を担当し、他の社員はその業務の手順やノウハウがわからない状態のことです。属人化が進むと、その担当者以外が業務対応をできなくなることから、業務遂行のボトルネックになる場合や、自分しかできないことを誤った誇りとして過度な自意識が周囲との軋れきや不満を生む場合もあります。
また、属人化業務を担当している社員の離職や病欠により、業務全体の運営に致命的な遅延や失態が発生する巨大なリスクにもなり得ます。
勤怠管理の運用がずさんだったり、勤怠に関するルールが明確でなかったりすることで、管理者が社員の労働時間を正確に把握することが難しくなります。
その結果、社員の残業時間が見逃されやすくなります。
管理者による社員の勤怠管理は労働基準法で定められています。社員の勤務時間を把握できない不十分な管理体制の場合は早急に見直しが必要です。
残業することが評価される社内文化が存在すると、社員は残業することを期待され、残業が常態化してしまいます。このような文化は、成果よりも労働時間の長さを重視し、効率的な働き方を阻害します。近年はワークライフバランスへの注目が高まっており、就業環境においてはプライベートと仕事の両立が重要視されています。生産性を度外視した就業時間の評価が優先される職場では、離職者の発生にもつながります。
残業削減に取り組むことで、以下のメリットがもたらされます。
社員のモチベーション向上
業務効率化
人件費・光熱費の削減
企業の社会的評価の向上
残業削減により、社員は仕事とプライベートのバランスを保ちやすくなります。これにより、心身の健康が向上し、ストレスも軽減されます。その結果、仕事に対する意欲や満足度が高まり、業務効率の向上も期待できます。
さらに、モチベーションの高い社員は創造力や問題解決能力を発揮しやすくなり、会社全体の生産性向上に寄与します。心身の安定により職場の雰囲気やコミュニケーションの向上も期待でき、離職率低下にもつながるでしょう。
残業を削減する取り組みとして、業務プロセスの見直しに着手することも有効な手段です。
業務の可視化を行い、無駄を洗い出し改善することで、属人化の解消や、効率化による生産性向上など多方面に良い影響を及ぼすことが期待できます。
残業削減により、時間外労働に対する人件費が削減されます。また、オフィスの利用時間が短縮されることで、光熱費などの運営コストも抑えられます。さらに、先述した通り離職率が低下することで、求人にかかるコストや時間の削減も期待できます。
残業削減を含め、社員の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組み、高い安全衛生水準を維持・改善している企業は厚生労働省より「安全衛生優良企業」と認定されます。
認定を受けた企業は「ホワイトマーク」と呼ばれる認定マークを取得でき、ホワイト企業として社会的評価が高まります。企業イメージの向上は、労働人口の減少が加速する今後において、優秀な人材を確保するための大きな利点となります。
残業削減は得られるメリットが多いですが、実行する際は以下の2点に注意する必要があります。
収入が減少することを不安視する社員がいる
残業時間の制限のみでは根本的な改善にならない
労働基準法では1日8時間、週40時間までを法定労働時間と定められており、これを超える労働時間は通常時の2割5分以上の割増賃金を支払うことが義務付けられています。
そのため「残業代を得ることで収入を増やしたい」と考える社員も存在し、残業削減により収入が減少してしまうことに不安を感じる可能性があります。
残業代の削減ができる分、企業側は成果報酬の導入や、福利厚生を見直すなどのメリットも提示し、会社がより良く変化していくことを伝える努力も必要です。
残業時間の制限のみでは根本的な改善にならない
そもそも残業をしなければ終わらないほどの業務量がある場合、単に就業時間を制限するだけでは、根本的な解決はしません。
残業ができない分、こっそり家に業務を持ち帰って対応するなど、社員の稼働負担の増加やセキュリティリスクが発生する場合があります。
残業削減を実行する際は業務の振り分け状況を確認し、業務効率化による工数削減を実現した上で残業時間を制限するなど、現実的に業務がしっかりと回転する状態を維持する必要があります。
または、社員がやらなければいけない必然性が低い定型業務などを切り出し、アウトソーシング(外部委託)することも検討しましょう。
残業削減を実現するための手法として以下の8つが挙げられます。
勤怠管理の徹底
残業の事前申請化
ノー残業デーの導入
シフト制・フレックス制の導入
上司の残業時間削減の率先垂範
業務の進捗状況の共有
業務の標準化
アウトソーシングサービスの活用
残業の削減を実行するためには、現状の残業時間と残業内容を把握する必要があります。
残業が多い部署や担当はどこか、残業時間はどの程度あるのか、具体的な残業時間を定量的に可視化し確認しましょう。
また残業の理由や業務内容など、残業で行われている業務の工数や性質を把握することも必要です。
部署や担当で残業時間に偏りがある場合、業務対応する担当や機能を見直し、業務量の平均化を図りましょう。
また、勤務時間管理を明確にすることで、社員の時間意識も高まります。
残業は社員の判断に委ね過ぎないようにしましょう。本来は管理職が業務の進捗状況に応じて、指示命令を行うものですが、部下の業務進捗を日毎に完全に把握することは難しく、現実的ではありません。
そのため、残業予定者は事前に残業予定内容を管理者に報告し、必要な残業なのかを管理者が判断するようにしましょう。また、場合によっては管理者は部下の仕事の割り振りを見直すなどの調整を行い、業務量の標準化も意識しましょう。
「毎週◯曜日はノー残業デー」と残業削減の運動を設けることも効果的です。
ただし、ノー残業デーではただ単独で設ければ良いというものではありません。
ノー残業デーには、普段よりも仕事を早く終わらせる必要が出てくるため、計画的な業務の遂行が欠かせません。その実現のために、仕事のやり方を見直し、業務効率化のきっかけを作ることが狙いです。
ワークライフバランスの推奨や、生産性向上を推進する運動論である点を理解し、業務効率化の施策と連動させる必要があります。
現実的に業務はどうしても日により偏りが発生します。社員が柔軟な働き方を選択できるよう、振替休日や代休取得の制度を設けることも、残業削減の手段です。
しかし振替休日や代休は割増賃金が発生するため、コスト面を考えると十分な対策とは言えません。
より柔軟に業務時間を平均化する仕組みとして、シフト制やフレックス制の導入を検討してみるのもよいでしょう。
ただし、シフト制・フレックス制は管理側の負担が増大するデメリットもあるので、しっかりとした就業管理体制の整備が前提となります。
残業削減の風潮を社内に作り出すためには、上司が率先垂範して行動する必要があります。
例えば、積極的に定時退勤する日を設けたり、必要に応じて部下に退勤の声掛けをしたりするなど、社員が残業削減を推進しやすくする環境作りも必要です。
ただし、無軌道な残業取得が横行しないよう、進捗管理などによる実業務を遂行する管理体制も伴っている必要もあります。
残業の元となる業務量の管理は残業削減の実現において根幹となる要素です。
日々の進捗状況の確認を事細かに確認するのは困難ですが、進捗の共有確認を意識的に行う文化を醸成し、業務管理システムやガントチャートなどによる可視化を伴うことで、各自の業務量の透明化が促進できます。
また、こうした仕組みは評価査定の明確な根拠にもなるため、残業削減以外の面でも管理面で大きな効能を発揮します。
業務の標準化とは手順通り作業を行うことで、誰でも同じように業務に取り組める状態のことを意味します。
標準化ができていない状態が、属人化です。属人化は業務進捗のボトルネックにもなり得ます。属人者の退職や病欠による業務の停滞や知見の消失といった大きなリスクをはらんでいます。
第三者でも対応可能なマニュアル等を整備することで、業務の分散による業務量の平均化を実現し、残業時間の偏りの抑制や、生産性の向上にも寄与することができます。
標準化が難しい業務でも少人数に絞ってノウハウの共有をする、サポートできるメンバーを確保しておくなど、業務を分散できるように対応するとより効果的です。
アウトソーシングサービスの活用とは、社内業務の一部を外部業者へ委託し業務効率化を図ることをめざします。
ルーチンで発生する事務処理などの定型業務に時間を取られ残業が発生しているケースは少なくありません。定型業務などはアウトソーシングサービスに委託することで業務量を減らし、本来社員が携わるべき新規営業や判断が必要なコアな業務に集中させることが可能になります。
また、アウトソーシングサービスの活用に伴い、委託業務の工数洗い出しや整理を図ることで、属人化の解消に着手する機会にすることも可能です。
特にアウトソーシングサービスを活用する利点は、社員の退職や病欠に左右されずに業務を安定して回すことができる体制が確保できる点です。安定感のある業務運用体制は、就業においてもバランスをもたらし、残業削減に大きく貢献する要素となります。
費用 | ・初回限定エントリープラン 43,000円/月(税込 47,300円) 月内利用時間12時間、契約月数3ヶ月 ・ライトプラン 55,000円/月(税込 60,500円) 月内利用時間12時間、契約月数3ヶ月 ・スタンダードプラン 118,000円/月(税込 129,800円) 月内利用時間30時間、契約月数6ヶ月 ・プロプラン 106,000円/月(税込116,600円) 月内利用時間30時間、契約月数12ヶ月 |
業務範囲 | 経理、営業事務、人事/採用、秘書、クリエイティブなどに幅広く対応 |
特徴 | ・業務の切り出しサポートや、マニュアル作成も依頼でき、初めてのアウトソーシング活用に適している ・100%正社員厳選されたスタッフがサービス提供を行うため、業務のアウトプット品質も安心 ・スタッフがサービス提供元拠点に出社して業務を行うため、セキュリティの心配も不要 |
残業削減に取り組もうと考えてはいるものの、人手不足や日々の業務に追われ、なかなか上手くいかないという方も多いのではないでしょうか。
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また複数業務を自由に組み合わせて依頼することも可能であるため、タイミングに応じて多忙な業務をサポートし残業削減に役立ちます。
残業削減を成功させる8つの方法と得られるメリットについて解説しました。
本記事のまとめは以下の通りです。
残業の慢性化は業務量とその振り分け方、社内の風潮に問題がある
残業削減に成功すれば社員の満足度や企業の社会的評価の向上などメリットが大きい
残業削減を実現するにはまず各社員の業務量を把握し、適正な振り分けと残業の慢性化を防ぐルールづくりが必要
業務量が減らせない場合はアウトソーシングサービスの活用がおすすめ
残業削減を成功させるためには、まず現状の各社員が抱える業務量を把握しましょう。
その上で業務量の調整や残業に関するルールを設定するなど「残業をなくす」という認識を企業全体で共有する必要があります。
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