「事務作業が多く、外部委託を検討している」
「業務量が毎月異なるため、柔軟に対応してもらえるサービスを見つけたい」
このような悩みを抱えている企業は、多いのではないでしょうか。
人材派遣を利用するほど業務が多くない場合や、月々の業務量にばらつきがある場合は、オンライン事務代行の利用がおすすめです。
オンライン事務代行の中には、リーズナブルな価格設定や業務への柔軟な対応など、さまざまな特長を持つサービスがあります。
本記事では、オンライン事務代行の選び方のポイントや、料金相場を解説します。
オンライン事務代行のおすすめサービスもご紹介しますので、導入を検討する際にお役立てください。
本章では、オンライン事務代行の意味や、フリーランスに事務代行を依頼する場合との違い、依頼できる業務例などを解説します。
オンライン事務代行の意味
オンライン事務代行企業とフリーランスの事務代行の違い
オンライン事務代行に依頼できる業務例
オンライン事務代行とは、リモート(遠隔)で対応する事務作業の代行サービスです。
このサービスを利用することで、企業や個人が事務作業を、外部の企業に依頼することができます。業務の依頼から納品までオンライン上で完結するため、場所や状況にかかわらずサービスを導入することが可能です。
昨今の人手不足という背景から、オンライン事務代行は非常に注目を集めているサービスです。
また、オンライン事務代行は、「オンラインアシスタントサービス」や「オンライン秘書」などと呼ばれることがあります。
オンライン事務代行を提供しているのは、大きく分けて「専門企業」と「フリーランス」の2種類です。
同じオンライン上のサービスであっても、専門企業に依頼する場合と、フリーランスとでは、以下のような違いがあります。
専門企業 | フリーランス | |
組織構造 | 複数のスタッフで構成されている | 通常1人で業務を請け負う |
業務範囲 | 幅広い業務に対応することができる | 特定の業務に特化していることが多い |
安定性 | スタッフの病気など、急な欠勤に対してバックアップ体制がある | 不測の事態への対応が難しい場合がある |
費用 | 一般的に料金体系が明確で、決まった料金プランがある | 交渉の余地があり、比較的安価な傾向にある |
セキュリティ | 多くの企業では対策がとられている | 個人によって対策のレベルにばらつきがある |
フリーランスのオンライン事務代行は、価格や条件を交渉しやすいことが魅力です。しかし、スケジュールや依頼内容の変更などへの対応が困難な場合があり、業務に支障をきたすこともありえます。
サービスを選定する際は、これらの違いを理解したうえで、自社の状況に応じたオンライン事務代行を選びましょう。
オンライン事務代行には、さまざまな業務に対応できるサービスがあります。一方で、経理などの専門分野に特化したものもあり、サービスを導入する前に、業務範囲を理解する必要があります。
以下は、オンライン事務代行で依頼できる業務の例です。
業種 | 業務例 |
営業事務 | 見積書作成、営業資料作成、顧客データベース更新、受発注処理、在庫管理など |
経理 | 会計システム入力、請求書・領収書発行、売上・入金確認、データ集計、給与計算補助など |
採用・人事 | 求人媒体リサーチ、面談調整、勤怠管理、入社・退社手続きなど |
秘書 | スケジュール調整、メール対応、電話対応、出張手配、資料作成、データ入力・管理など |
翻訳 | 外国語メール対応、文書翻訳など |
クリエイティブ | Webサイト更新、SNS運用サポート、ブログ執筆、画像修正・補正など |
オンライン事務代行を利用することは、企業にとって大きなメリットがあります。
本章では、代表的な3つのメリットをご紹介します。
コア業務に集中できる
コストを抑えることができる
地方都市企業でも人材確保ができる
コア業務とは、戦略立案や経営企画など、直接成果や利益を生み出す業務を指します。しかし、事務作業が日常的に多いと、従業員の時間が事務作業に取られてしまい、コア業務に十分集中できないという課題を抱える企業も多いのが現状です。
例えば、電話の一次対応や書類作成、データ入力といった事務作業をオンライン事務代行に委託することで、従業員が利益や成長に直結する業務に十分な時間を確保できるようになります。
オンライン事務代行を利用することで、残業時間を減らし、人件費を削減することができます。
膨大な事務作業が要因で、従業員が慢性的に残業をしている場合、オンライン事務代行を活用することで、残業時間の削減につながるでしょう。もちろん、オンライン事務代行を利用する費用はかかりますが、各分野に精通したスタッフが対応するため、短時間で高品質なアウトプットが期待できます。
また、事務にあたる従業員の新規採用を検討している場合も、オンライン事務代行を活用した方が費用対効果が高い可能性があります。
オンライン事務代行を活用することで、一定のスキルを持った人材をすぐにアサインできるため、採用費や福利厚生費といったコストの削減にもつながります。
このように、人件費や採用費を抑える効果が期待できる点も、オンライン事務代行の大きなメリットです。
オンライン事務代行は、スタッフが出社する必要がないため、地方都市に拠点のある企業でも利用しやすいサービスです。
地方都市に拠点がある企業では、地元で優秀な人材を確保することが難しい場合があります。また人口が減少しているエリアでは、求職者の人数が少なく、特定のスキルを持った人材がすぐに見つからないこともあるでしょう。そのような課題がある企業にとって、オンライン事務代行は、地元の人材不足を克服する有効な手段といえます。
オンライン事務代行には大きなメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
本章では、オンライン事務代行のデメリットを解説します。
オンラインツールに慣れる必要がある
スタッフとの相性が合うかわからない
社内にノウハウが蓄積しない
普段の業務で、オンラインツールを活用していない場合、導入に抵抗を感じることがあるかもしれません。
オンライン事務代行は、業務のほとんどがオンライン上で完結するため、利用する企業側にある程度の、ITスキルが求められます。例えば、メールやチャットなどのコミュニケーションツールの導入や、大容量のデータを送受信するためのネットワーク環境の整備などです。
また、オンラインでの業務に慣れていない企業にとっては、クラウドでのファイル共有やチャットでの連絡方法に、戸惑う場合があるでしょう。紙ベースでの作業や、対面での業務指示が日常的な場合、オンライン上でのやりとりが主となるオンライン事務代行の導入がスムーズに進まない可能性があります。
オンライン事務代行企業と契約した場合、実際に業務を担当するスタッフと、事前に面談することはほとんどありません。そのため、業務を開始してみなければ、スタッフとの相性やスキルを判断することが困難です。
このような事態を避けるためには、トライアル期間やお試しプランのあるサービスを活用し、実際に稼働するスタッフとの相性を確認すると良いでしょう。
長期的にオンライン事務代行を利用する場合、自社の従業員が業務に携わる経験が不足し、社内にノウハウが蓄積されない可能性があります。また、特定の業務を外部委託に依存しすぎると、サービスを中止した後に、社内に適性のある人材がおらず、業務が停滞するリスクもあります。
このようなリスクを避けるには、オンライン事務代行と定期的なフィードバックの場を設けることが有効です。これにより、委託している業務のフローやアウトプットへの理解が深まるでしょう。さらに、このフィードバックを社内で共有することで、ノウハウを蓄積していくことができます。
昨今、オンライン事務代行が注目されるにつれ、提供している企業やサービスの数が増えてきています。
本章では、数あるオンライン事務代行の中から、自社にとって適切なサービスを選ぶポイントを解説します。
業務体制の違いを理解する
セキュリティ対策は十分か確認する
コミュニケーションの方法を確認する
オンライン事務代行には、「チーム制」と「担当者固定制」の大きく2つの体制があります。
チーム制は、複数のスタッフがチームを組んで、依頼者の業務を分担しながら進める体制です。
以下は、チーム制のメリット・デメリットです。
メリット | ・幅広い業務に対応することができる ・チーム内で業務が分担できるため、迅速に対応できる ・スタッフが急に休みを取得しても、他のメンバーがカバーできる |
デメリット | ・スタッフが変わる場合があるため、依頼する業務のマニュアルを準備する必要がある |
担当者固定制は、1人のスタッフが継続して、依頼者の業務を担当する体制を指します。
担当者固定制のメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | ・コミュニケーションが密になり、信頼関係を築きやすい ・1人のスタッフが継続して業務に対応するため、業務の質が安定する |
デメリット | ・急な対応が難しい場合がある ・スタッフの病欠などの事情に対する、バックアップ体制が弱い ・対応できる業務の幅に制限がある |
利用するオンライン事務代行によっては、チーム制と担当者固定制を選択することができるサービスもあります。中には固定の窓口専属スタッフと作業チームのハイブリッド体制で運営しているサービスもあるため、導入を検討する際には事前に確認をするようにしましょう。
オンライン事務代行を選定する際に、セキュリティ対策について確認することは非常に重要です。なぜなら業務を外部委託することは、情報漏えいのリスクがあるためです。
例えば、次のような認証の有無は、セキュリティ対策を適切に講じているかどうかの目安になります。
ISO27001認証(ISMS認証) | 情報セキュリティの国際基準 |
Pマーク(プライバシーマーク) | 個人情報保護の認証 |
この他に、セキュリティポリシーの確認や、スタッフに対するセキュリティ教育の実施状況なども、あわせて確認するようにしましょう。
オンライン事務代行は、メールやビジネスチャットツールで、ほとんどのコミュニケーションが完結します。そのため、自社で使い慣れたツールを使用できるか、確認しましょう。すでに自社で使っているツールを使用できれば、オンライン事務代行の導入がスムーズです。
また、業務の依頼や相談ができる窓口専属のスタッフの存在は、オンライン事務代行を選ぶうえで重要なポイントです。業務に関する要望を、窓口スタッフが取りまとめて各スタッフに伝達してくれるため、コミュニケーションにかかる時間を短縮することができます。
本章では、オンライン事務代行の料金体系の違いと、それぞれの相場について解説します。
月額制と従量課金制の違い
料金相場
オンライン事務代行の料金体系には、大きく「月額制」と「従量課金制」の2種類があります。
月額制とは、毎月決まった料金を支払い、契約で定めた範囲の時間や業務内容で、オンライン事務代行を利用する料金体系です。
月額制には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット | ・予算が立てやすく、コスト管理が容易 ・長期利用する場合、割引が適応される場合がある |
デメリット | ・業務量が少ない月は割高になる |
月額制の場合、業務量が少ない月には、依頼する業務や料金プランを変えることができるサービスもあります。柔軟な対応が可能なオンライン事務代行を利用し、業務量が少ない月に割高になることを防ぎましょう。
従量課金制とは、利用した業務量や時間に応じて支払う料金体系を指します。1時間ごとに課金されるサービスから、「メール対応1件につきいくら」といったように、個々の業務に対して課金されるものもあります。
従量課金制のメリットとデメリットは次の通りです。
メリット | ・業務量に応じて費用を調整できる |
デメリット | ・コスト管理がしづらい |
従量課金制は、利用量に応じて料金が変動するため、長期的なコスト予測が困難です。しかし、必要な分だけ利用できるため、スポットでの利用に適した料金体系といえます。
月額制の相場は、概ね月額55,000円〜120,000円(税抜)となっています。時給換算すると、3,000円~4,000円となるオンライン事務代行が多くあります。ただし、月内利用時間や契約月数によって料金プランが異なります。
従量課金制の場合は、1時間あたり2,500円(税抜)が相場です。しかし、この料金に加え、基本料金やプロジェクト管理費などの名目で費用が発生するサービスもあります。また、専門的な業務に関しては、別途費用がかかる場合もあります。
本章では、厳選したおすすめのオンライン事務代行を、3社ご紹介します。
カチアルサポート
クラウドワークス エージェント
メリービズ
カチアルサポートは、NTT印刷株式会社が運営している、オンライン事務代行です。
経理・営業事務・人事/採用・秘書・クリエイティブなど幅広い業務に対応していることが特長です。依頼業務は自由に組み替えることができ、月ごとに依頼する内容を変更可能です。そのため、繁忙の波にあわせて依頼する業務を調整することができます。
カチアルサポートでは、窓口専属スタッフが企業からの依頼や相談に応じます。要望に応じて、各分野に精通したスタッフをアサインするため、コミュニケーション負荷がかかりません。また、初回限定エントリープランが用意されており、お試し価格で3ヶ月間、スタッフとの相性やスキルを確認することが可能です。
また、採用過程において厳しい審査基準が設けられており、面談やスキルチェックなどの審査を通過したスタッフのみが業務に従事することで、安定した質の高いアウトプットにつながっています。さらに、スタッフは必ずサービス提供元拠点に出社して、管理者監督のもと作業に従事します。加えてカチアルサポートを運営しているNTT印刷株式会社は、情報セキュリティの国際基準であるISO27001認証と、個人情報保護の証であるPマークを取得しているため、機密情報を扱う業務も安心して委託することができます。
サービス名 | カチアルサポート |
費用 | 初回限定エントリープラン 43,000円/月(税込 47,300円) 月内利用時間12時間、契約月数3ヶ月 ライトプラン 55,000円/月(税込 60,500円) 月内利用時間12時間、契約月数3ヶ月 スタンダードプラン 118,000円/月(税込 129,800円) 月内利用時間30時間、契約月数6ヶ月 プロプラン 106,000円/月(税込116,600円) 月内利用時間30時間、契約月数12ヶ月 |
業務範囲 | 経理、営業事務、人事/採用、秘書、クリエイティブなどに幅広く対応 |
特徴 | ・業務の切り出しサポートやマニュアル作成も依頼でき、初めてのアウトソーシング活用にもオススメ ・100%正社員のスタッフがサービス提供を行うため、業務のアウトプット品質も安心 ・サービス提供元拠点に出社して対応することから、紙書類の作成や郵送作業などの、オフライン作業にも対応可能 |
公式サイト | https://kachiarusupport.nttprint.com/ |
クラウドワークス エージェントは、企業とフリーランスのマッチングを行い、オンライン事務代行を提供しています。国内最大級のクラウドソーシングサービスである、クラウドワークスに登録している600万人もの人材から、自社のニーズに応じた人材を見つけることが可能です。
クラウドワークス エージェントは担当者固定制を採用しており、継続して同じスタッフが業務に対応します。日々のコミュニケーションの中で、スタッフは業務理解を深めることができるため、依頼業務のマニュアルが必要ありません。
契約前に、候補者の経歴書確認とオンライン商談の機会があり、ミスマッチを防ぐことができます。また、エージェントがフリーランスをフォローする体制があるため、スムーズに業務を開始・継続することができます。
サービス名 | クラウドワークス エージェント |
費用 | ・料金体系は時間単位 ・月内利用時間60時間から利用可能 ※詳細は要問合せ |
業務範囲 | 営業事務、経理、ライティング・秘書、デザイン・コーディング、カスタマーサポート、データ入力、人事・労務、広告運用などに幅広く対応 |
特徴 | •ITや広告運用に強みがある人材も見つけられる •リーズナブルな時間単価 |
公式サイト | https://bizasst.jp/client/ |
出典:メリービズ
メリービズは経理業務に特化した、オンライン事務代行です。
仕訳入力や経費精算などの日常業務だけではなく、クラウド会計ソフト導入など経理のDX化推進までサポートしてくれます。経理業務全体の改善・コンサルティングを行うサービスもあるため、抜本的な業務改善に取り組むことができます。
経理業務を代行するのは、簿記2級以上の保有者や、税理士事務所での広範囲なサポート経験者など、高いスキルと豊富な経験を持つスタッフです。
サービス名 | メリービズ |
費用 | ・依頼業務によって変動 ※個別見積 【料金例】 ・月次仕訳入力代行:15~20万/月 ・すべての月次決算業務:20~30万/月 (売上請求・入金管理、支払請求管理・支払実施、経費精算、給与支払い、残高確認などの業務) |
業務範囲 | 経理、会計、経理業務コンサルティング、会計ソフト導入など |
特徴 | ・経理業務に特化し、専門性の高いアウトプットが提供可能 ・企業の要望や会計ソフト、業務などの条件をもとに適切なスタッフを選定 ・証憑のスキャン代行やファイリングなど、一部オフライン作業も対応可能 |
公式サイト | https://merrybiz.jp/ |
参照:メリービズ
本記事では、オンライン事務代行の選び方や、料金相場などについて解説してきました。
記事のまとめは以下の通りです。
オンライン事務代行とは、リモートで対応する事務作業の代行サービス
オンライン事務代行を活用することで、コア業務への集中や、従業員の残業時間削減が期待できる
オンライン事務代行を導入する際には、業務体制やセキュリティ対策、コミュニケーションの方法などを確認する必要がある
オンライン事務代行の料金体系には、月額制と従量課金制があり、それぞれメリット・デメリットがある
オンライン事務代行を導入すれば、企業の拠点を選ばず優秀な人材に業務を依頼することができます。
月々の業務量に応じて柔軟な対応が可能なため、人手不足に悩んでいる企業にとっておすすめのサービスといえます。
ぜひ、オンライン事務代行を活用して、従業員がコア業務に集中できるようにしましょう。