業務マニュアルの"改訂履歴"とは、業務マニュアルの変更内容を履歴として残し、閲覧者が最新情報や変更の経緯を把握できるように記すものです。
また、改訂履歴を記しておくことは、品質管理や法令遵守の観点からも重要であり、法改正やルール変更、業務の改善などにしっかりと対応しているという証左としても機能します。
本記事では、業務マニュアルにおける改訂履歴の重要性、改訂履歴の書き方、業務マニュアルを改訂すべきタイミングについて解説していきます。
そもそもなぜ業務マニュアルの改訂が重要なのか、改訂を怠った場合のリスクを踏まえて解説します。
業務改善や法改正などを契機とした業務内容や利用システム・ツールの変更など、業務を取り巻く環境は常に変化していきます。それらの変更に伴い、業務マニュアルを逐次見直さなければ、従業員は古い手順のままで業務を行うことになってしまいます。
その結果、業務のミスや手戻りが発生して業務効率の低下を引き起こすだけでなく、最悪の場合、重大なトラブルにもつながりかねません。
そのため、常に業務マニュアルに最新の情報を反映させておくことで、従業員の業務効率の向上および業務品質の安定が期待できます。
業務マニュアルの改訂がなされず、最新の状態ではない場合、実務者の間で「業務マニュアルを見ても意味がない」という認識が広がり、業務マニュアルの存在が形骸化する恐れがあります。
業務における不明点があっても業務マニュアルを参照しなくなり、やがて実務者が独自の判断や方法で業務を進めてしまい、属人化を招く温床となります。
属人化による影響は、業務効率や生産性の低下、実務者が担当から外れた場合の業務引継ぎなど、多くのリスクをはらんでいます。
代を継承するごとに、誤った手順や判断基準が受け継がれてしまい、やがて大きな問題になってしまうというケースも見受けられます。
また、業務マニュアルは新任者の教育用資料としても機能しますが、古い情報で構成された業務マニュアルでは教材として意味を成しません。そのため、教育時の労力が増えるだけでなく、教育の質のばらつきにもつながる可能性があります。
業務マニュアルの改訂の重要性は理解いただけたかと思います。では、適切な改訂のタイミングはいつなのでしょうか。改訂に適したタイミングとして以下の2つが挙げられます。
定期的に業務マニュアルを見直す機会を設けることで、古くなった情報や、改善が必要な箇所を早期に発見することができます。 見直しの頻度は、業務内容の変更や法令改正の頻度などを考慮して、四半期(3ヶ月)ごと、半期(半年)ごと、1年ごとなど、マニュアルの役割を踏まえて適切な期間を設定しましょう。
業務プロセスやシステムの変更など、社内ルールや業務に変更があった場合は、速やかにマニュアルに反映させましょう。特に「機械の故障」や「顧客からのクレーム」などの緊急性が高い問題が発生した場合は、早急に全体共有を図る必要があります。古い手順で問題が再発しないよう業務マニュアルを早急に改訂するようにしましょう。
業務マニュアル改訂履歴の作成を含めた、改訂のステップを確認していきましょう。
まず最初に業務マニュアルのなかで改訂すべき箇所を洗い出す作業を行ないましょう。
業務マニュアルの管理担当者(改訂者)が洗い出すだけではなく、実際に業務マニュアルを利用している実務者にもヒアリングを行い、実用に適う内容となるよう確認をしましょう。ヒアリングの方法としては、個別インタビュー、グループインタビューなどが挙げられます。
インタビューは、利用者が感じている問題点や改善希望をより具体的に聞き出しやすいというメリットがあります。特にグループインタビューでは、業務マニュアルの利用者同士が意見を交換し合うことで、個別の意見だけでなく、共通の課題を浮き彫りにさせることが期待できます。
次に、収集したフィードバック内容をもとに現場の実務者と業務マニュアルの管理担当者(改訂者)との間で意識のすり合わせを行います。具体的な変更点や具体的な改訂方法(アウトプット)、範囲、スケジュールなどを議論して決定していきます。
このステップ1と2のプロセスを通じて、現場のニーズと改訂責任者の視点を統合し、改訂作業が実効性の高いものとなるようにします。
現場へのヒアリングとすり合わせができたら、いよいよ改訂作業を実施していきます。
収集したフィードバックや現場の意見をもとに、実際にマニュアルの内容を修正・追記します。改訂すべき箇所が多い場合は、重要度や影響度の高い項目から優先順位をつけて作業を進めると良いでしょう。
またこの時に改訂履歴を必ず作成するようにします。改訂履歴には、変更する内容だけでなく、背景や経緯の記録も残しておき、今後改訂履歴を見た閲覧者が、経緯を知らずに善意の自己判断で古い手順に戻してしまうといったことが発生しないようにしましょう。
業務マニュアル改訂履歴の作成方法および注意点
改訂履歴には、改訂日や改訂箇所などをまとめていきます。主な記載項目は以下の通りです。
改訂日 | バージョン | 改訂内容 | 改訂理由 | 改訂者 |
2023年12月20日 | Ver.1.0 | 顧客情報入力画面の項目名を変更 | 業務フローの変更に伴い改訂 | 情報システム部 田中 |
2023年11月20日 | Ver.1.1 | 新規顧客向けキャンペーン情報を追記 | 新規プロジェクトの発足のため | 営業推進部 佐藤 |
2023年10月20日 | Ver.1.2 | 新規作成 | ー | 情報システム部 田中 |
冊子タイプの業務マニュアルの場合、表紙にバージョン(版数)を記しておくと良いでしょう。
以下のポイントを押さえることで、より利用者が理解しやすい改訂履歴の作成ができます。
業務マニュアルのバージョン(版数)管理を徹底することで、どのバージョンが最新なのかを明確にすることができます。 バージョン番号は、管理しやすいように、「Ver.1.0」「Ver.1.1」といった形で管理することが一般的です。
「誤字脱字の修正」「表現の変更」「項目の追加」など、具体的にどのような変更を加えたのかを明確に記述しましょう。 曖昧な表現や抽象的な表現は避け、誰が見ても理解できるような記述を心がけることが重要です。
なぜその変更が必要だったのか、理由を具体的に記述することで、利用者の理解を深めることができます。 例えば、「法改正に伴い、〇〇条項に関する記述を修正しました」「お客様からのご指摘を受け、〇〇の表現をわかりやすく修正しました」といった表現が適切です。 変更理由を明確にすることで、利用者は変更内容の背景や意図を理解しやすくなり、業務マニュアルの内容をより正確に理解することができます。
ここまで業務マニュアルの改訂の重要性とその具体的な方法を解説してきました。
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本記事では、業務マニュアルにおける改訂履歴の重要性、改訂履歴の書き方、業務マニュアルを改訂すべきタイミングについて解説しました。
改訂履歴は、単なる変更記録ではなく、業務のミスやトラブルを防ぎ、閲覧者に対して「常に最新の情報が反映されている」という安心感を与える役割を担います。本記事で紹介した内容を参考に、ぜひ業務マニュアル改訂履歴の作成・管理に取り組んでみてください。
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