仕事への意欲があり、成果もしっかり上げてくれる優秀な社員は企業にとって重要な存在です。
優秀な社員の流出は、企業にとっては大きな損害です。
今後、2040年に向けて日本の労働人口の減少が大きく加速する中、人材確保はより困難な状況になっていきます。
企業の経営存続には、離職防止の視点は欠かせません。
しかし、「あんなに意欲が高かったのにどうして辞めてしまったのだろう…」と退職理由が分かっていない、ということはないでしょうか。
本記事では優秀な社員が辞めてしまう理由と、企業で意識すべき仕組みづくり4つのポイントを解説します。
さらに優秀な社員が辞めてしまった場合の対処法についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
優秀な社員が仕事を辞める動機として多く挙げられる理由は以下の通りです。
自分の給与・待遇に納得できない
社内の人間関係が好ましくない
仕事にやりがいを感じられない
自身の成長が見込めない
企業に将来性を感じない
優秀な社員は他の社員と比べ生産性が高く、企業への貢献度も高いと考えられます。
しかしその働きぶりや能力や成果を正当に評価する給与制度・人事制度が整っていない場合、「頑張っても評価されない」と感じてしまい離職に繋がります。
他にも「残業ありきの業務量」といったライフバランスの偏りが顕著な場合や、「昇進しても変わらない給与」など労働対価が見合っていると感じられない場合においても、不満は生まれやすくなります。
こうした不満から、より労働条件が良い転職先を探す場合、条件面の理由が明確であるため、転職先の検討時間も少なくなり、突然の退職につながるケースも少なくありません。
「社内の人間関係」も退職理由としてよく挙げられます。特に優秀な社員ほど「自分と同じモチベーションで仕事をする人」「仕事ができ尊敬できる人」と一緒に仕事をしたいと考える傾向があります。
人間関係の中でも、特に「上司」との関係は重要な要素となります。
「意見を取り合ってくれない」「機嫌で指示が左右される」
など、上司のことを尊敬できない、上司の指示に納得できない(一貫性がない)と感じると、社員のモチベーションは大きく低下します。
優秀な社員は仕事へのモチベーションが高くチャレンジ精神も旺盛です。
自身のスキルアップ・キャリアアップをめざし、いち早く目標達成するために全力を尽くします。
しかし企業から与えられる目標が簡単に手の届くものであり、誰にでもこなせる内容である場合、達成感がなくやりがいを感じなくなってしまうでしょう。
また優秀な社員は効率的に仕事を行うことを重視する傾向があり、非効率で無駄の多い業務には不満を抱きやすいです。
より効率的なやり方を提案しても受け入れてもらえなかった場合、張り合いを感じられなくなり離職に繋がります。
優秀な社員は自身のビジョンがこの企業で実現できるかどうかを重視します。
そのため企業の将来性についても敏感です。
現時点の業績だけでなく、経営陣の将来的な戦略が明確かどうか、またその内容に納得や共感できるかどうかも判断基準に含まれるでしょう。
優秀な社員は、社外の人脈が豊富で、情報感度も高い傾向にあるので、さまざまな情報と比較し、自社の状況を冷静に判断します。
自身が優秀であることから、転職の選択肢も多いため、自社の将来性に疑問を抱いた場合に退職の決断を下すことは少なくありません。
優秀な社員が辞める企業の特徴は3つあります。
労働条件や職場環境に問題がある
評価基準が明確でない
経営陣が保守的で行動力がない
以下では、それぞれの具体的な内容を詳しく解説します。
現在はライフバランスが重視される傾向が強いため、労働条件や職場環境が直接的な退職理由になるケースは少なくありません。
休日出勤や長時間労働が当然であるなど、労働条件や環境が良くない職場では、ハラスメントといった人的課題も生じやすくなる傾向があります。
職場環境が良くない場合、社員に期待できるパフォーマンスも限定的となってしまいますし、社員の定着が低いと経験やスキル属人化の温床にも繋がります。
優秀な社員は自身がめざすビジョンに向け、必要なスキル・知識の習得に尽力します。
しかし評価体制が整っておらず評価基準が不明瞭な企業では、企業から社員に何が求められているのか把握することができません。
曖昧な評価基準の企業では先の見通しが立てにくく、自身のビジョン実現が困難であると判断され離職に繋がるでしょう。
さらに優秀な社員は他の社員と比べ成果を残しており、それを自身でも自覚していることが考えられます。
しかし評価基準が明確でない場合、その優秀な仕事ぶりも正しく評価されていないと不満に感じてしまうのです。
経営の存続、および、企業の成長を推進するには、時代の流れを読み取り機敏に判断・対応していく必要があります。
特に昨今は、コロナ禍で市民権を得た "リモートワーク" の導入が積極的かどうかで入社を判断されるケースもあります。
勿論、こうした例は、業種業態によって異なりますが、経営者の機に臨み変に応ずる姿勢を社員はよく見ています。迅速な判断対応は経営者の腕の見せ所とも言えます。
現状維持に固執し、企業自体の成長が見込めない姿勢だと判断されると、優秀な社員はより将来性の高い他社への転職を検討する事となります。
優秀な社員が辞めてしまった場合、企業やプロジェクトはどのような影響を受けるでしょうか。
具体的に以下の3つの影響が考えられます。
他社員のモチベーションが低下する
仕事の質と生産性が低下する
離職する社員が増える
以下で詳しく解説します。
特に退職者の人望が厚かった場合、残された社員への退職の衝撃は大きな爪痕となります。
「なぜ、あの人が退職を選択したのだろうか?」
「企業の将来性がないのだろうか?」
「こんな不満を言っていた」
中心人物の離脱を契機に、日頃の不満や不信感が一気に噴き出し、社員間で共有されてしまうことで、ネガティブな感情がまん延し、仕事へのモチベーションを大きく損なわせてしまうケースもあります。
退職者が優秀であればあるほど、残された社員の業務負担が増え生産性が低下します。
これは単純な作業効率の低下だけではなく、事業の提供品質にまで影響が及ぶこともあります。
例えば、退職者が実行していた判断ができなくなることで、対応が遅れ機会損失が発生します。また対応の遅れから後手に回ることで相乗的に業務量自体が増加する場合もあります。
こうした影響が一時的であればまだ良いですが、人材の流出が立て続けに発生しないよう、経営者は考慮しておく必要があります。
優秀な社員の退職を契機に、連鎖的にその周囲の社員も退職する場合があります。
これは退職者への共感であったり、残されることへの不安や、人手不足による業務負担への考慮など、さまざまな理由が具体化することで、退職が自分ゴトとなるためです。
いずれの理由にせよ退職者の増加は、事業自体の存続にもつながる深刻な問題です。連鎖的な退職者の発生に繋がらないよう、経営者は退職の予兆に対しては高い感度を持っておくべきでしょう。
優秀な社員が辞める際にはどのような前兆があるでしょうか?
下記3つの行動に注意して社員の様子を見るようにしましょう。
発言やコミュニケーションが少なくなる
有給を消化し始める
デスク周りの荷物を整理し始める
具体的に解説します。
日頃のコミュニケーションが減っていると感じた場合は、もしかすると退職の前兆かもしれません。
特に、会議での発言が著しく減っている場合は、仕事への積極性の低下に直結しているかも知れません。
あるいは「どうせ何を言っても変わらない」など、気付かないところで信頼性が冷えてしまっているなど、発言が消極的になる理由には退職の決意につながりやすい要素があります。
有給取得が急に増えたり、著しく残業時間を減らしたりしている場合も、退職の前兆として考えられます。
転職活動が本格化すると、業界分析や面接や試験に対応するために転職活動に時間を割く必要が出て来ます。
特に、自身の転職に集中してしまうような社員の場合は、業務の引継ぎなども放置し、ある日急に居なくなるという事例もあります。
社員の時間の使い方の変化は、特に注意が必要な重要な要素と言えます。
単に整理整頓をしているだけであれば問題はありませんが、明らかにデスクの周囲の私物が減っていたり、業務の引継ぎを意識した準備等を進めている場合は、退職の前兆という段階を過ぎているかもしれません。
私物の整理をする段階は、すでに転職先の目途が決まっていたり、退職時期を定めている可能性が高いといえます。
優秀な社員を辞めさせないためには企業の仕組みを見直す必要があります。
仕組みづくりの際には以下の4つのポイントを抑えておきましょう。
企業のビジョンや方針の明確化
公正で明確な人事評価の確立
コミュニケーションの活発化
業務のマニュアル化
以下では詳しく解説します。
企業としての経営ビジョンや方針を明確にすることは重要ですが、その内容を正しく社員に発信・共有する努力は更に重要です。
経営者が明確なビジョンや戦略を描いていたとしても、それが社員に理解されていなければ、存在していないことと変わりません。
しっかりと社員とビジョンを共有することで、企業への帰属意識を高めることもできます。
人事評価において、明瞭な成果基準(制度)があることも重要ですが、その評価査定をしっかりと社員にフィードバックし、社員が納得できているか、という点も非常に重要です。
働きぶりや姿勢、プロジェクトや業務の難易度や売上業績など、複数の要素を一緒くたに評価することは困難です。明確な評価制度の確立が、社員の不満を払拭するという事は現実的にありえません。
社員にとっては「正当に評価されていない」という不満に繋がります。
人事制度の確立だけでなく、しっかりと評価査定のフィードバックも重要です。
コミュニケーションが円滑で、風通しが良い風土を持つ職場は、不安や悩みが深刻化する傾向は当然低くなります。
そのような職場を作るには、心理的安全性の確保が重要といわれています。積極的な意見交換ができる環境を整えることで、安心して仕事に集中し、結果としてパフォーマンス向上や能率・業績向上に結び付けることが期待でき、職場全体の質を活性化させることができます。
優秀な社員が業務を抱えすぎていないでしょうか。
業務の機能と対応する担当を明確に定義し、社員が業務に集中できる環境づくりも重要です。
定期的に発生するルーチン業務は、マニュアル化を推進し、同時に担当所掌の機能を定義しましょう。
マニュアルは自社の知見を資産として可視化するものです。定期的に内容を見直し、標準化することで、属人化を防止するだけでなく、工数を洗い出し効率化も検討できます。
また、どの担当が何の業務を対応すべきかを定義することで、担当者の役割機能を明確にし、出力の向上もめざすことができます。
機能的に整理することで、担当間の業務も透明化ができ、達成すべき成果もより明確になります。
優秀な社員が辞めてしまった場合、企業としては急ぎ穴埋めに対処しなければ、業務だけでなく顧客にも影響を及ぼしてしまいます。
しかしまた一から人材を募集し、採用・教育を行うのは時間も労力もかかりますし、別の社員に業務を任せるだけでは、その社員の業務負担が増えることで、品質や能率の低下を引き起こす悪循環に陥る可能性もあります。
そんな時は迅速に優秀な人材をアサインできるアウトソーシングサービスを活用することで、穴埋めの負担を軽減することができます。
アウトソーシングサービスの中でも、カチアルサポートは複数業務を自由に組み合わせて依頼できるため、特定の業務だけでなく、都合に応じてさまざまな業務を依頼することができます。
依頼業務に応じて業務経験者がアサインされるため、教育の手間を短縮できる点がポイントです。
また稼働開始まで最短6営業日で利用できるので、欠員分のリソースをすぐに補充することができます。
優秀な社員が抜けてしまった場合に発生する業務の引継ぎを分散することで、ネガティブな影響を抑えることができます。
費用 | エントリープラン:43,000円(税抜)/月(税込47,300円) 初回限定、月12時間、3ヵ月契約
月12時間、3ヵ月契約
月30時間、6ヵ月契約
月30時間、12ヵ月契約 |
業務範囲 | 経理、営業事務、人事/採用、秘書、クリエイティブなどに幅広く対応 |
特徴 | ・業務の切り出しサポートや、マニュアル作成も依頼でき、初めてのアウトソーシング活用に適している ・100%正社員の厳選されたスタッフが業務を行うため、業務の品質も安心 ・スタッフがサービス運用拠点に出社して業務を行うため、セキュリティの心配も不要 |
本記事では、優秀な社員が辞めてしまう理由と、辞めないための仕組みづくりについて解説しました。
まとめは以下の通りです。
優秀な社員は明確な評価制度と快適で積極的な労働環境を望んでいる
企業として明確な評価基準や労働条件の設立・透明化が重要
コミュニケーションを通じて快適な労働環境の整備に務める
万一優秀な社員が辞めてしまった場合はアウトソーシングを活用することがおすすめ
優秀な社員が辞めてしまう場合、人間関係だけでなく、評価制度、労働条件、業務の仕組みといった社内全体の構造に悲観して退職を決意するというケースは少なくありません。
仕事に対し意欲的で優秀な社員が辞めてしまうことは企業にも大きな影響を与えます。
優秀な社員が辞めない仕組みを確立し、社員の不満はコミュニケーションを通して、迅速に解消できるように風通しの良い雰囲気づくりも重要でしょう。
万一、優秀な社員が辞めてしまった場合はアウトソーシングを活用することをおすすめします。
カチアルサポートではバックオフィス業務を中心として業務の効率化、生産性の向上をサポートしています。
月額43,000円(税込 47,300円)からのエントリープランも用意しておりますので、ぜひ一度お試しください。