企業と顧客をつなぐ直接の窓口であるコールセンターの品質は、企業のイメージや信用度に大きな影響を与えます。しかし、
「複数のオペレーターがいる中、顧客対応の一貫性を保つのが難しい」
「人手不足により、品質管理の専任担当者を設置できない」
といった課題を抱える担当者は多いでしょう。
本記事では、コールセンターにおける品質管理の方法やポイント、役立つツールなどについて詳しく解説します。
顧客との直接的な接点を担うコールセンターでは、管理すべき品質項目、もしくは品質の種類として主に以下の4つが挙げられます。
品質の種類 | 概要 | 品質を測定する指標 |
応対品質 | オペレーターの電話応対の質 | 顧客満足度スコア・モニタリングスコア・クレーム発生率・平均応答時間 |
処理品質 | 業務の正確さや対応スピード | 一次完結率・再入電発生率・保留発生率・エスカレーション率 |
接続品質 | 電話のつながりやすさ | 応答率・放棄率・話中率・最長待機時間・平均保留時間 |
運用品質 | センター運営の持続性 | 従業員満足度・離職率・欠勤率・勤務時間遵守率 |
これらを定期的にチェック、改善することがコールセンターの品質管理における主な業務です。
それぞれの品質について詳しく解説します。
応対品質は、顧客に応対する際のコミュニケーションの品質を指します。顧客がコールセンターに電話をかけた際、明瞭かつ丁寧な対応が求められます。
応対品質を向上させるためには、オペレーターの教育とトレーニングが不可欠です。具体的には、電話応対の基本マナー、製品やサービスに関する知識、問題解決スキルなどの習得が必要です。
処理品質は、顧客からの問い合わせに対して正確かつ迅速に対応ができたかを評価する基準です。
処理品質の向上には、オペレーターの知識とスキルが不可欠です。そのため、トークスクリプト(台本)や問い合わせ内容に対する回答集(FAQ)を用意した上で、研修を通じて実践的な教育を行うことが効果的です。これにより、全てのオペレーターが一貫性のある対応を行い、処理品質が向上します。
接続品質は、顧客がコールセンターにアクセスする際のつながりやすさを指します。顧客が電話をかけた際にすぐに接続されるかどうか、待ち時間が長すぎないかといった要素で評価されます。
高い接続品質を保つためには、ピーク時のコール量を予測し、適切な人数のオペレーターを配置することが求められます。
運用品質とは、コールセンターを常に安定して稼働するための管理品質を指します。コールセンター業界では、離職率や欠勤率の高さが問題視されることがあるため、稼働管理の品質を保つことが重要になります。
運用品質を向上・維持するためには、シフト管理や業務工程の最適化が必要になります。オペレーターが十分な休憩時間を確保できるよう、勤務スケジュールを適切に管理することで、オペレーターの疲労からくる離職を抑止し、コールセンターを安定的に運用することが可能になります。
コールセンターにおける品質管理が重要視される理由の一つに、顧客満足度向上の必要性が挙げられます。顧客満足度は企業の成長に直結する重要な指標であり、その向上を図るためには、顧客との直接的なコミュニケーションを担うコールセンターの品質管理が欠かせません。コールセンターの品質管理を徹底し、顧客満足度が向上することで、リピーターの増加や口コミでの新規顧客獲得にもつながるでしょう。
また、コールセンターの品質を高め、顧客が不満を抱くケースを減らすことができればクレームの減少にもつながり、顧客満足度の向上が期待できます。
顧客満足度を測る指標は、主に以下の3つが挙げられます。
CS(Customer Satisfaction) | 商品やサービスに対して顧客が満足している度合いを表す。一般的には、アンケートなどを通じて、顧客に5段階もしくは10段階の数値で評価してもらう測定方法を取ることが多い。 |
NPS(Net Promoter Score) | 顧客が自社の商品やサービスを友人や家族にどれほど薦めるか、0点から10点の11段階で評価してもらうことで、顧客ロイヤルティを測る指標のこと。このスコアは、顧客を「推奨者」(9点、10点)、「中立者」(7点、8点)、そして「批判者」(0点~6点)に分類し、推奨者の割合から批判者の割合を引くことで算出され、NPSが高いほど、顧客ロイヤルティが高いことを示す。 |
CES(Customer Effort Score) | 顧客が問題解決のためにどれだけの労力を費やしたか、つまり、どれほど「面倒くさい」と感じたかを示す指標。一般的には、アンケート調査で「問題を解決するためにどれくらいの労力が必要でしたか」という質問を行い、5段階や7段階などの数値で評価してもらう。CESが低いほど、顧客はスムーズに問題を解決できたことを示す。 |
コールセンターの品質をチェックする方法には、いくつかの種類があります。ここでは、代表的なものとして以下の3つを紹介します。
モニタリング
覆面調査
アウトソーシングの活用
モニタリングは、実際のオペレーターの顧客対応を確認して、評価する方法です。一般的には管理者がオペレーターと顧客との通話をリアルタイムでチェックしたり、録音された内容を確認したりすることで、応対スキルや対応の迅速さ、顧客への配慮などの評価を行います。
モニタリングの結果は、オペレーターへのフィードバックとして活用され、具体的な改善点を指摘することで個々のオペレーターのスキルアップにつながります。
自社内で手軽に行える一方で、評価に個人的な感情が入りやすく、客観性を保たないと正当な評価が難しくなるため、注意が必要です。
覆面調査は通称「ミステリーコール」とも呼ばれ、
調査員などが顧客のふりをしてコールセンターに連絡し、その対応を評価する方法です。
オペレーターが通常の業務中にどのように応対しているかを顧客視点で確認できるため、モニタリングよりもリアルな顧客体験に基づいた評価ができます。覆面調査の結果は、対応品質の現状を客観的に把握するための貴重なデータとなります。覆面調査の結果をもとに、オペレーターのトレーニングプログラムの見直しや、システムや業務フローの改善を図ることで、コールセンター全体のサービス品質を向上させることが期待できるでしょう。
アウトソーシングを活用し、外部の業者に品質管理業務を委託する方法です。一般的には、録音した通話記録を委託業者がチェックし、内容を評価してもらう流れで行われます。品質管理業務には稼働や手間を取られるので、代わりの利く業務は外注することで、品質管理を効率的・効果的に実施することが可能になります。また、第三者の目による客観的な評価を受けることができ、新たな改善点の発見にもつながります。
コールセンターの品質管理を行う際は、いくつかのポイントを押さえることでより高い効果を得ることができます。特に、以下の3点は欠かせないポイントです。
調査結果をフィードバックする
KPIを設定する
継続的に行う
品質管理の最初のステップは、オペレーターの応対状況を正確に把握し、その結果を適切にフィードバックすることです。通話内容の録音や覆面調査などで収集したデータを分析し、具体的な改善点をオペレーターに伝えることがポイントです。
フィードバックは単に指摘するだけでなく、具体的な改善策や成功事例を共有することで、オペレーターが自己改善に取り組みやすくなります。例えば、優れた応対を行ったオペレーターの事例を紹介し、他のオペレーターが参考にできるようにすることが有効です。なるべくポジティブなフィードバックを意識することで、オペレーターのモチベーションを高めながら品質向上を図ることができるでしょう。
KPI(重要業績評価指標)を設定することで、目標が数値で可視化され、品質管理の効果を測定することが可能になります。現状を正確に把握することで、品質目標を達成できていない場合には、原因となる問題の発見や、改善策を立てることに役立てることができます。
また、KPIはコールセンター全体の目標だけでなく、個々のオペレーターの目標としても設定することで、パフォーマンスの向上を促進します。
KPIを明確にすることで、全員が共通の目標に向かって努力する一体感が生まれ、組織全体のパフォーマンス向上につながるでしょう。
コールセンターの品質ごとの主なKPIは以下のとおりです。
品質の種類 | 主なKPI |
応対品質 | 顧客満足度スコア、モニタリングスコア、クレーム発生率 |
接続品質 | 応答率、話中率、放棄率、平均応答速度、平均保留時間 |
運用品質 | 従業員満足度、離職率、欠勤率 |
処理品質 | 一次完結率、平均処理時間、保留発生率、再入電発生率 |
毎日受ける問い合わせに対し、常に高い品質のサービスを提供することが求められるため、品質管理は継続的に実施することが重要です。
定期的な品質調査や評価を行い、常に最新の状態把握に基づいて改善を図ることで、コールセンターの品質を継続的に維持・向上させることができます。
また、コールセンターの品質は応対するオペレーターや混雑状況などによっても左右されるため、時間帯や曜日によってばらつきが生じる場合もあります。継続的に現状を把握し、品質を管理していくことで、品質を均一に是正していく必要もあります。
コールセンターの品質管理を行なうために、ツールの導入も検討するとよいでしょう。
ここでは、コールセンターの品質管理に役立つ以下3つのツールを紹介します。
VOC分析ツール
KPI分析ツール
テキストマイニングツール
VOC(Voice of Customer)分析ツールは、顧客の声を収集し、分析するためのツールです。テキストや音声データなどの収集や分析、SNS等の口コミ分析ができ、顧客がどのような問題や不満を抱えているのかを把握し、適切な対応策を検討することができます。近年では、AIを組み合わせたものも登場しており、音声をそのまま認識して顧客の感情の動きを解析するなど、高度な機能を持つVOC分析ツールも注目を集めています。
KPI分析ツールは、コールセンターの品質に関わる各指標を測定し、管理するためのツールです。応答時間や解決率、顧客満足度などのKPIを収集し、分析やレポートを作成することを得意としています。コールセンター全体の指標だけではなく、個々のオペレーターのパフォーマンス評価や、トレーニング効果の測定などにも活用することが可能です。
Excelなどのソフトで分析することも可能ですが、手動更新の負担や高度な分析の制限などがネックとなります。時間や手間をかけず高い水準でKPIを分析するのであれば、ツールの導入がおすすめです。
テキストマイニングツールは、顧客とのやり取りの中から有用な情報を抽出するためのツールです。コールセンターでは、顧客との通話内容やチャットログなど、大量のテキストデータが生成されます。テキストマイニングツールを使用することで、これらのデータを自動的に解析し、重要なキーワードやトレンドを特定することができます。
「アンケート結果から傾向を読み取る」「問い合わせログからよくある質問を見つける」といったことに活用が可能です。
出典:カチアルサポート
「リソース不足でコールセンターの品質管理に手が回らない」といった場合は、アウトソーシングの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
NTT印刷が提供するカチアルサポートでは、コールセンターの品質管理について、コールログのチェックや顧客アンケートの集計作業などにご対応します。
カチアルサポートは、さまざまなバックオフィス業務を必要な時に必要な分だけ、厳選されたスタッフに依頼できるサービスです。
品質管理に関する業務だけでなく、マニュアル作成や資料作成、データ入力なども、代行・サポートさせていただくことが可能です。
経理・営業事務・採用/人事・秘書・クリエイティブ等、幅広い業務に対応していますので、コールセンターの品質管理以外にも依頼したい業務がある場合は、特におすすめです。
料金体系も月額43,000円(税込47,300円)からとリーズナブルで、コストを抑えたい企業に選ばれています。
費用 | エントリープラン 43,000円/月(税込 47,300円) 月内利用時間12時間、契約月数3ヶ月 ライトプラン 55,000円/月(税込 60,500円) 月内利用時間12時間、契約月数3ヶ月 スタンダードプラン 118,000円/月(税込 129,800円) 月内利用時間30時間、契約月数6ヶ月 プロプラン 106,000円/月(税込116,600円) 月内利用時間30時間、契約月数12ヶ月 |
業務範囲 | コールセンターの品質管理の他、経理、営業事務、人事/採用、秘書、クリエイティブなどに幅広く対応 |
特徴 | ・業務の切り出しサポートや、マニュアル作成も依頼でき、初めてのアウトソーシング活用に適している ・100%正社員、厳選されたスタッフがサービス提供を行うため、業務のアウトプット品質も安心 ・スタッフがサービス提供元拠点に出社して業務を行うため、情報セキュリティの面でも安心 |
本記事では、コールセンターにおける品質管理の方法やポイントなどについて解説しました。記事のまとめは以下のとおりです。
<記事まとめ>
コールセンターでは、応対・接続・運用・処理の品質を定期的にチェックし、改善することが重要
コールセンターの品質管理は顧客満足度向上につながる
人手や予算に限りがある企業はアウトソーシングの活用がおすすめ
コールセンターには多くの品質基準があり、一つひとつ継続して管理するのは大変な作業です。
しかし、コールセンターの品質を適切に管理していくことで、顧客満足度を高め、企業のイメージや信頼性を向上させることが期待できます。
外部のリソースなども活用しながら、効率的に品質管理を行っていくことで、顧客との関係を強化し、企業の成長につなげていきましょう。