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勤怠管理の方法とは?仕事内容から具体的な目的までを徹底解説

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目次

「勤怠管理の方法が分からない」
「勤怠管理システムの種類が多く、最適なものが選べない」
このように考えるご担当者は多いでしょう。
勤怠管理を初めて行う方に向けて、勤怠管理の基本的な目的や実施方法をご紹介した上で、勤怠管理システムの選び方についても解説します。
効率的に勤怠管理を行うための手引きとしてご活用ください。

勤怠管理とは

勤怠管理業務の一つとして、各従業員の労働時間を記録する作業があり、労働基準法を遵守するために欠かせません。
一般的には、客観的に記録できるタイムカードや勤怠管理システムを使って、出勤・退勤時間などのデータを取得します。
これから、労働時間の記録を初めて行う方に向けて、勤怠管理の概要を分かりやすく解説します。

勤怠管理を行うべき企業

勤怠管理は労働基準法第4章に基づく義務で、労働時間を把握する必要がある、時給制の従業員に適用されます。
(労働時間の規定が適用されない農業・漁業に関しては対象外です。)
そのため、経営者以外の従業員が存在する企業であれば、勤怠管理を行わなければなりません。

勤怠管理の対象になる従業員

事業を経営する役員や、みなし労働時間制が適用される高度専門職を除いては、残業時間の制約が存在します。

業務委託を除く以下4種類の形態で雇用する場合、労働時間を把握しておく必要があります。

  • アルバイト

  • 派遣社員

  • 契約社員

  • 正社員

つまり、企業規模・業種に関わらず、従業員に対して勤怠管理を行わなければなりません。
また、2019年に労働安全衛生法が改正された関係で、役職のない通常の従業員だけでなく、管理職も残業時間が規制されるようになりました。
残業時間超過による罰則を受けないように、従業員だけでなく管理職に対しても勤怠管理を行いましょう。

勤怠管理で把握すべき項目

勤怠管理の項目に関しては、労働基準法において明確に示されていません。
しかし、厚生労働省のガイドラインで、労働者の始業・終業時間の記録が義務付けられています。
労働時間・時間外労働時間・欠勤日等の、以下の項目を記録する必要があるので、勤怠管理を行うために必要な項目を把握しておきましょう。

項目



目的


始業・終業時刻
労働時間・休憩時間


遅刻・早退の把握
法定労働時間の遵守

時間外労働時間
深夜労働時間・休日労働時間



支払賃金の算出
(時間外・深夜は25%・法定休日は35%割増)


出勤日・欠勤日・休日出勤日


法定休日の遵守


有給取得日数


従業員の健康管理・支払賃金の算出


法定労働時間は、1日8時間・1週間40時間の規制が存在し、上限を超えると時間外労働の扱いになります。
法定休日は、1週間に1日の休日を設けた上で、祝日分の休日も確保しなければなりません。
法定労働時間・休日の規則を破ると、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があるため、必ず遵守しましょう。

勤怠管理の目的・必要性

勤怠管理を行う3つの目的について詳しく解説します。

  • 残業時間・最低賃金の規則の遵守

  • 従業員の健康維持と過労死の防止

  • 給与や法人税計算の精度確保

残業時間・最低賃金の規則の遵守

勤怠管理を行う最大の目的は、残業時間・最低賃金を遵守して、労働基準法違反に陥るのを防ぐことです。労働基準法では、1日8時間・週40時間までの労働時間が定められていて、残業できる時間も限られています。

労働基準法第36条に定められた36(サブロク)協定を結んでも、残業時間を月45時間・年360時間に抑えなければなりません。
固定残業代で支払う場合は、労働時間が長いほど時給が下がるため、残業時間によっては最低賃金を下回る危険性があります。
勤怠管理を行うと労働時間を把握できるため、残業時間や最低賃金に関する法令違反を回避できます。

従業員の健康維持と過労死の防止

従業員の過労死防止も勤怠管理の目的の一つです。会社によっては、残業時間の管理があやふやになり、過労死ラインである月80時間を超えることも少なくありません。

サービス残業も、長時間労働と同様に労働基準法違反となるので、勤怠管理を行わなければなりません。 
勤怠管理をしっかり行い、従業員の健康を維持して労働災害を未然に防ぎましょう。

給与や法人税計算の精度確保

給与所得や法人税を正確に計算できる状態にすることも、勤怠管理を行うべき理由として挙げられます。
法人税の計算をしっかり行わないと、「脱税」という重罪(10年以下の懲役)が科せられる場合があります。
勤怠管理をしっかり行うと、人件費を把握できるようになるため、法人税を正確に計算できます。
給与所得や法人税の算出で困らないよう、勤怠管理を実行できる状態にしておきましょう。

勤怠管理をしていないと生じるリスク

勤怠管理を怠ることで生じる3つのリスクを解説します。

  • 経営者逮捕によって会社経営が危ぶまれる

  • 未払い残業代の遅延損害金を余分に請求される

  • ブラック企業として扱われるため社会的信用が落ちる

経営者逮捕によって会社経営が危ぶまれる

労働基準法違反によって経営者が逮捕され、会社経営に支障をきたす可能性があります。
労働基準法に違反すると、最高経営責任者が法的責任を負うことになり、最大で6ヵ月間働けなくなるリスクがあります。企業のトップが機能しなくなると、指揮命令系統が崩れてしまい、経営がままならない状態に陥る可能性が高くなります。
最悪の事態を避けるためにも適切な方法で勤怠管理をしっかり行う必要があります。

未払い残業代の遅延損害金を余分に請求される

未払い残業代の遅延損害金を余分に請求されることも勤怠管理を行わないことで生じるリスクです。
残業代の未払いは、最大で30万円の罰金が科せられるだけでなく、未払い残業代の遅延損害金まで余分に請求されます。
給与関連の遅延損害金に関しては、年率3%として追加徴収されます。
正しく残業代を支払えるように、勤怠管理システムやカードリーダーを活用して勤怠管理を行いましょう。

ブラック企業として扱われるため社会的信用が落ちる

残業の多いブラック企業として扱われ、社会的信用が落ちるリスクもあります。
勤怠管理をしっかり行わずに労働基準法に違反すると、従業員の残業時間を考慮しない企業という悪いイメージが付きます。
結果として、ブラック企業とみなされるようになり、転職サイトでも悪評が立つため、社会的信用を失うでしょう。
悪いイメージを持たれて社会的信用を失わないためにも、勤怠管理を適切に行って労働基準法を遵守する必要があります。

勤怠管理を行う4つの方法

勤怠管理システムを含めた、4種類の勤怠管理方法を紹介していきます。

  • 紙の出勤簿(自己申告型のため非推奨)

  • Excel形式の出勤表(自己申告型のため非推奨)

  • タイムカード

  • 勤怠管理システム

厚生労働省の労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインによると

”タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること”

と記載されているため、基本的には自己申告型の紙の出勤簿やExcelではなく、タイムカードや勤怠管理システムを活用するのが良いでしょう。

紙の出勤簿(自己申告型のため非推奨)

紙の出勤簿は、もっとも原始的な勤怠管理方法で、出勤時間・退勤時間や残業時間を手書きで記録します。しかし勤怠情報が簡単に改ざんできてしまうため、勤怠管理の手法として認められない可能性が高いです。
また、2019年4月に施行された働き方改革関連法によって、時間外労働の上限規制が厳しくなりました。きちんと労働時間を把握できるようにするためにも、客観的に記録できるタイムカードか勤怠管理システムの利用が好ましいでしょう。

参考:厚生労働省

メリット

①システムやカードリーダーを導入する費用がかからない

②使い方を覚える必要がないのですぐに始められる

デメリット

①記入に手間がかかる上に記入ミスが生じやすい

②簡単に不正申告ができるので客観性を担保しづらい

Excel形式の出勤表(自己申告型のため非推奨)

Excel形式の出勤表は、Excelシートを活用して、管理者が従業員の勤怠時間などを管理する方法です。
紙の出勤簿に比べると入力精度は高いものの、やはり自己申告制で客観性に欠け、管理も煩雑になるため、避けた方が良いでしょう。

Excel形式のメリットとして、大量の従業員の勤怠データを打ち込めるだけでなく、CSVファイルを活用して勤怠管理システムと連動できることが挙げられます。
そのため、多くの従業員の勤怠状況を的確に把握したい方は、客観的に記録できる勤怠管理システムを利用しましょう。

メリット

①従業員数が多くても入力の手間が少ない

②CSVファイルを活用すると勤怠管理システムと連動できる

デメリット

①入力ミスによる不備が発生しやすい
②複雑な計算を行うには関数の知識を覚える必要がある

タイムカード

タイムカードは、紙の打刻シートあるいはICカードをタイムレコーダーに差し込む方法で、1人1枚のシートで勤怠を管理します。
打刻漏れが生じる恐れがあるものの、客観的に勤怠データの記録を行えるため、勤怠管理として認められるのがメリットです。
勤怠管理システムと異なり、誰でも操作を行えるため、比較的導入しやすいです。
しかし、カードリーダーの導入費用の相場観が1台当たり10万円程度と高価な上に、リモートワークには対応できないのがデメリットです。

メリット

①時刻を正確に記録できるので客観的な証拠として扱える

②勤怠管理システムと異なり誰でも操作できる

デメリット

①カードリーダーの導入費用が1台当たり10万円程度と高価
②リモートワークには対応できない

勤怠管理システム

勤怠管理システムは、スマートフォンやPC上で打刻を行い、勤怠のデータをシステム上で管理する方法です。
アラート機能が付いているため、打刻漏れする可能性が低く、もっとも正確に打刻管理を行えます。
勤怠状況の管理を自動化できるので従業員が多くなっても対応しやすく、リモートワークでも活用できるのもメリットです。

しかし、操作するのが難しく研修を行う必要がある上に、管理する従業員が多くなるとランニングコストが高くなるのが欠点です。

メリット

①PC上で操作できるのでリモートワークにも対応できる

②従業員の勤怠状況を自動で管理できる

デメリット

①操作方法を覚えるために研修を行う必要がある
②従業員数が多くなるとランニングコストが高くなる

人事業務に必要な勤怠管理システムの選び方

人事業務を行う上で欠かせない、勤怠管理システムにはオンプレミス型とクラウド型の2種類があり、それぞれ以下の特徴があります。勤怠管理システム検討の際は、違いを把握しておきましょう。

形式

メリット

デメリット

クラウド型

①サーバーが不要でコストが安い

②メンテナンスの手間が少ない

①セキュリティ設定の自由度が低い

②システムをカスタムしにくい

オンプレミス型

①セキュリティを強固にできる

②拡張機能を開発できる

①導入コストが高い

②システム導入に手間がかかる

そのうえで、下記の項目を意識しながら勤怠管理システムを選んでみてください。

  • 機能・使いやすさ

  • セキュリティ体制

  • サポートの手厚さ

それぞれ見ていきましょう。

機能・使いやすさ

操作の複雑さが勤怠管理システム導入のネックになるため、機能や使いやすさを考慮して選ぶ必要があります。以下5つのポイントを考慮した上で、勤怠管理システムを選びましょう。

  • 従業員用マイページの見やすさ

  • 打刻申請の行いやすさ

  • 打刻ミスの修正のしやすさ

  • 打刻方法の多様さ

  • 動画マニュアルの有無

勤怠管理システムの使い勝手は、無料の試用期間を活用すると把握できます。
また、打刻忘れを伝えてくれるアラーム機能も、勤怠管理を行う上で欠かせない機能です。システムによって警告メッセージの内容が異なるので、アラーム機能がしっかりしたシステムを選びましょう。

セキュリティ対策

従業員の個人情報を扱う勤怠管理システムを選ぶときは、セキュリティ対策も重要なポイントです。セキュリティ上の不備があると、ウイルスの感染や情報漏えいが生じてしまい、社会的信頼の喪失につながります。
勤怠管理システムのセキュリティを重視される方は、自社で監視できるオンプレミス型がおすすめです。
セキュリティ性の高さを示す、プライバシーマークやISMS認証の有無についてもチェックしましょう。

サポートの手厚さ

勤怠管理システムの設定・操作に関するサポートが手厚ければ、運用をスムーズに行えるようになります。
システムによって提供するサポートの内容が異なるため、以下の3つのポイントを考慮した上で、勤怠管理システムを選びましょう。

  • 導入前の初期構築サポートの有無

  • 導入後のサポートの手厚さ

  • サポート窓口の対応時間・料金

初めて勤怠管理システムを選ぶ際は、メールサポートが無料であるなど、自由にお問い合わせを行えるサービスがおすすめです。

勤怠管理を行う際の注意点

ここでは、勤怠管理を行う際の注意点を解説します。

  • パート・アルバイトは扶養控除の枠を意識する

  • 派遣社員の勤怠管理は派遣元・派遣先双方で対応する

  • 契約社員の勤怠管理は正社員と同様に行う

  • フレックスタイム制の場合はコアタイムを把握する

  • 打刻漏れや打刻修正をチェックしてトラブルの発生を防ぐ

  • テレワーク・在宅勤務は業務委託化する

パート・アルバイトは扶養控除の枠を意識する

扶養控除内での勤務を希望されている場合、扶養控除枠を意識してシフトを組む必要があります。
繁忙期等で勤務日数や勤務時間が多くなってしまう場合は、別の月の労働時間で調整等をする必要があり、年単位での管理が必要になってきます。

派遣社員の勤怠管理は派遣元・派遣先双方で対応する

派遣社員の勤怠管理では、派遣元が派遣社員の勤怠情報を把握・管理し、給与を支払います。しかし実際に派遣社員が勤務するのは、派遣先の企業です。そのため、出退勤や労働時間は派遣先にて記録しますが、給与計算や有給休暇は派遣元の勤怠管理システムで行うといった形で勤怠管理が複雑化します。
派遣元・派遣先の双方で、きちんと勤怠管理ができていないと、トラブルになり、信頼を失う危険性が高くなります。
それぞれが責任を持つべき管理項目をきちんと理解するようにしましょう。

契約社員の勤怠管理は正社員と同様に行う

契約社員は契約期間こそ存在するものの、基本的な待遇は正社員と同様であり、週休2日制で労働を行う場合が多いです。
そのため、派遣社員の場合と異なり、正社員と同様の勤怠管理を行っても問題ありません。契約社員だからといって手を抜かずに勤怠管理を行った上で、残業代を支払うようにしましょう。

フレックスタイム制の場合はコアタイムを把握する

フレックスタイム制を取り入れている企業では、従業員の労働時間を把握しづらくなるため、遅刻や早退の判断が難しくなります。

遅刻・早退の判断を正確に行えないと、賃金カットや人事評価に影響を与えるため、企業の評価制度に対する不満を抱きやすくなります。

コアタイムを把握すると遅刻・早退の判断を的確に行えるため、人事評価に関するトラブルを避けられます。

フレックスタイム制の企業で勤怠管理を行うときは、コアタイムを把握しておきましょう。

打刻漏れや打刻修正をチェックしてトラブルの発生を防ぐ

タイムカード・勤怠管理システムのいずれの管理方法においても、打刻漏れが生じがちです。

打刻漏れがあると勤務時間が把握できなくなるため、実労働時間が分からなくなり、残業代未払いや健康被害リスクが高まります。

勤怠管理システムでアラームが付いている場合は、研修でアラーム機能の使い方を教えると、打刻ミスが生じづらくなります。

打刻漏れをチェックするシステムを活用した上で、打刻ミスに関しては的確に修正を行い、勤怠に関するトラブルの発生を防ぎましょう。

テレワーク・在宅勤務は業務委託化する

テレワークや在宅勤務では、職場に行けないため、タイムカードによる打刻を行えないのが課題です。

従業員による自己申告制が一般的で確認が取りづらいため、不正が発生しやすくなるリスクがあります。

リスク解消の一手として、時給・労働時間の縛りがない業務委託を利用する方法があります。労働時間や最低賃金に関するトラブルを防ぎたい方は、業務委託等もぜひ検討してみてください。

まとめ:勤怠管理業務はバックオフィス業務の代行サービスを活用して効率化しよう

本記事では勤怠管理の基本的な目的や実施方法、勤怠管理システムの選び方について解説してきました。

勤怠管理は従業員の給与に関わる重要な業務ですが、集計などの煩雑な作業も多く担当者の負担になりやすいです。そのような勤怠管理を効率的に行う方法の一つとして、バックオフィス業務の代行サービスの活用が挙げられます。

代行サービスを活用することで、貴重な従業員のリソースをコア業務に集中させることが可能となり、結果として事業拡大や市場競争力の向上に寄与します。

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出典:NTT印刷株式会社 カチアルサポート

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ライトプラン       55,000円(税抜)/月(税込60,500円)

スタンダードプラン    118,000円(税抜)/月(税込129,800円)

プロプラン        106,000円(税抜)/月(税込116,600円)


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参考:NTT印刷株式会社 カチアルサポート

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