業務効率化

総務の業務改善事例を紹介!メリットや実施手順、注意点などを徹底解説

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目次

「総務の業務効率化を図りたいが、具体的な改善方法がわからず困っている」

「改善すべき点は把握しているものの、忙しくてつい後回しにしてしまう」

このような悩みをお持ちの総務担当者は多いのではないでしょうか。

本記事では総務業務の具体的な改善事例を紹介します。

業務改善のメリットや実施手順、注意点なども合わせて解説しますので、始めやすい取り組みから実践してみてください。







総務を取り巻く課題とは

総務を取り巻く課題は主に次の5つです。

  • 業務範囲が広く負担を抱えやすい

  • 人手不足が深刻化している

  • 業務が属人化しやすい

  • モチベーションを保ちにくい

  • テレワークを実践しにくい

総務は限られた人員で膨大な業務量をこなしているため、さまざまな課題を抱えています。まずは客観的視点から総務の課題把握に努めましょう。

業務範囲が広く負担を抱えやすい

総務はさまざまな業務を通じてあらゆる部署の課題に対応し、企業活動を円滑化するためのサポートを行います。

<総務業務の一例>

  • 備品管理や電話・来客受付などの事務作業

  • 職場環境の整備

  • 採用や研修などの人事業務

  • 経営判断の参考にするための情報収集や分析

  • 社内から依頼された突発的な業務

企業によって総務の業務範囲は異なりますが、多くは担当部署が不明確な業務を含む幅広い管理業務を担います。業務範囲が広い分、仕事内容の線引きが難しく、社内において幅広い所掌範囲を持つことになりやすい点が総務の特徴です。

また、法改正や新制度への迅速な対応も求められます。

タスク管理が困難で負担を抱えやすい総務は、業務改善による仕事の効率化が必要といえるでしょう。

人手不足が深刻化している

少子高齢化や人材の流動化により、多くの企業で慢性的な人手不足に陥っています。

総務は間接部門であり企業の利益に直結しないため、人件費増加の対象になりにくい点も課題の一つです。

人的リソースに余裕がない状態でありながら対応すべき事案が増えているため、業務量と人的リソースが不均衡になりがちです。

総務のサポートが不十分である場合、社内の労働環境整備が行き届かず、離職者の増加につながり人手不足をさらに悪化させてしまう可能性もあります。

業務改善に取り組み、少ない人員でも総務の幅広い仕事をこなせるような工夫が必要です。

業務が属人化しやすい

人手不足の状態で膨大な業務を担う総務では、限られた従業員に業務が集中する傾向にあります。

業務の属人化を問題視していても、日々の業務が忙しくマニュアルの整備や引継ぎが後回しになり、なかなか改善できないという企業も多くあります。

担当者にしかわからない方法で業務が行われると、特定の従業員にノウハウや経験が偏り、他の従業員がスキルを取得し成長する機会を減少させてしまいます。

さらに業務の属人化は、担当者が離職や休職となってしまった場合に業務が停滞するリスクをともなうため、対策は必須だと言えるでしょう。

担当者が非効率な方法で業務を続けている場合もあるため、業務を標準化しチーム内で共有することが求められます。

モチベーションを保ちにくい

総務はコーポレート部門の1つであり、組織及び従業員自身の目標達成や成長を定量的に把握、実感しにくいことも課題だといえるでしょう。

営業成績のように目標や成果を数値化することが難しく、評価基準があいまいになりやすいことが原因です。

さらに他のコーポレート部門と同様に、定型的な業務の割合が比較的多くなりやすいことも、モチベーションの維持を難しくする要因と想定されます。

総務担当者が「正当に評価されない」「やりがいを得られない」と感じた場合、モチベーションの低下を引き起こし、離職してしまう可能性もあります。

総務担当者が成長意欲を持てるようにするには、総務の業務を客観的に評価する仕組みづくりが大切です。

また付加価値の高い仕事に取り組めるよう、非効率的な仕事の進め方を見直す必要があります。

テレワークを実践しにくい

近年は働き方の多様化により、テレワークが普及しています。しかし他の部門と比較して、総務のテレワークは進んでいない状況です。

株式会社インフォマートの調査によると、 テレワークを実施していない総務担当者の割合は7割弱でした。またテレワークを実施している総務担当者のうち、テレワーク時の出社理由は「契約書などの押印のため」「書類の郵送のため」がそれぞれ約4割を占めています。

業務のオンライン化やアウトソーシングの活用などにより、総務担当者にもテレワークを促進する方法はあります。

テレワークを望む従業員が柔軟に働けるよう、業務運営体制を積極的に改善していくことが重要です。

参考:infomart 7割弱の総務担当者が「テレワークをしていない」実態が明らかに

総務の業務改善を実施するメリット

総務の業務改善を実施するメリットは、主に次の3つです。

  • 総務や企業全体の安定運営につながる

  • 戦略的な総務業務に注力できる

  • 従業員全体のモチベーションが向上する

業務がひっ迫すると日々のタスクを優先してしまいがちですが、業務改善は企業の生産性向上につながる重要な取り組みです。メリットを把握し、優先的に実施することをおすすめします。

総務や企業全体の安定運営につながる

業務改善の取り組みの過程で業務が可視化されることで、総務業務の全体像をチーム内で共有できるため、適切な業務量とスケジュールで仕事を回せるようになります。

余裕を持って業務に取り組むことで業務遅延やミスの軽減につながるため、業務品質の向上に効果的です。また業務の標準化によって、離職・休職による突然の欠員や引継ぎにもスムーズに対応できるようになります。

総務の安定的な運営は、企業リソースの最適活用やコスト削減にも寄与するため、組織全体の生産性の向上につながります。総務の業務改善は、総務業務の効率化だけでなく、企業の安定と成長に不可欠と言えるでしょう。

戦略的な総務業務に注力できる

近年は感染症対策や働き方改革などの影響から、総務は「戦略総務」としての役割が重視されるようになりました。

総務担当者は企業内で幅広い分野の仕事に関与するため、その知見を企業の課題抽出や改善提案に積極的に活かすことができる部門でもあります。経営資源を効果的に活用するため、総務が主体となって検討・分析を行うべきだとする考え方が戦略総務です。

業務改善により確保した時間で戦略的な業務に取り組むことで、従業員のエンゲージメント向上施策などに注力でき、結果的に企業全体の生産性向上につながります。

従業員全体のモチベーションが向上する

業務改善を行い「戦略総務」としての役割を強化することにより、従業員のモチベーションを高める効果が期待できます。

福利厚生の見直しや人材戦略など、従業員一人ひとりが能力を発揮できるような環境づくりに取り組むことができるからです。

例えば、従業員の個性や能力に合った人材配置を行うことで、仕事への意欲が高まりパフォーマンスの向上につながります。

また、資格取得のための教材費や受験料を負担するなど、従業員のスキルアップ支援を充実させることでさらなるモチベーション向上効果が得られるでしょう。

総務の業務改善を図るアイデア

総務の業務改善を図るアイデアを、次の5つに分けて紹介します。

  • ペーパーレス化

  • 業務の可視化

  • IT技術による自動化

  • 業務分担の見直し

  • 業務の標準化

いずれも業務改善を実施するうえで欠かせないアイデアです。それぞれのアイデアを参考にして、自社に取り入れられるものがないか検討してみてください。

ペーパーレス化

業務の見直しを行う際には、無駄な業務の排除と工数削減を意識しましょう。書類のペーパーレス化を行うことで、印刷と配布の手間を省けるとともに、承認プロセスや情報共有を効率化できます。

アイデア

内容・効果

各種書類の電子保存

  • 書類印刷のコストや手間削減

稟議承認や書類管理の電子化

  • 稟議承認のための書類の印刷・受け渡しや押印、書類を管理・検索する工数の削減

データのクラウド保存

  • 多様なデータをクラウドで一括管理

  • 管理コスト・データ検索稼働の削減

名刺管理ツールの導入

  • 名刺のデータ保存による、管理・検索の効率化

  • 社内共有による顧客管理の効率化

業務の可視化

業務の可視化によって個々の担当業務が一目で把握できるため、抱えている業務量や進捗状況をチームで共有できます。

業務負担の大きさに応じた適切な役割分担が可能になるほか、優先すべき業務の判断や実行が迅速化するため、タスク遅延への対応にも効果的です。

アイデア

内容・効果

タスクの進捗状況の可視化

  • タスク整理

  • 進捗状況の定期的な把握・共有によるタスクの抜け漏れ防止

  • 人員割り振りの最適化

  • 優先して取り組むべきタスクの確認・実行の迅速化

情報共有ツールの導入

  • 誰でもすばやく情報にアクセスできる

  • 情報共有や引継ぎに要する時間の削減

日程調整ツールの導入

  • スケジュール管理・会議や面談調整の効率化

  • ダブルブッキングや連絡の行き違い防止

  • 社内での情報共有を促進

ビジネスチャットツールの導入

  • 個人やグループでの会話形式によるコミュニケーションの効率化

  • 履歴確認・文書共有の効率化

IT技術による自動化

ITツールを活用した業務の自動化は、労働時間の短縮や人件費の削減、人的ミスの軽減に効果的です。

データ入力や集計などの定型業務は自動化しやすいため、積極的に検討しましょう。

アイデア

内容・効果

Excelの関数やマクロの利用

  • 計算処理や反復作業の自動化による作業時間の短縮

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入

  • ICT技術を活用して入力・集計作業などを自動化

  • 人的ミスの軽減による品質向上

受付システムの導入

  • 来訪者がデバイスを操作して来訪先へ通知

  • 受付の無人化による人件費削減

チャットボットツールの導入

  • FAQへの自動回答システムを構築

  • 問い合わせ対応数の削減

勤怠管理ツールの導入

  • 勤務時間集計などの自動化により作業時間を短縮

  • 人事・労務システムとの連動により、入力ミスを防止

人事システムの導入

  • 人事考課表の作成・提出・管理のプロセスをシステムで一元化し、作業時間を短縮

業務分担の見直し

スキルレベルや適性に応じた業務分担を行うことで、従業員がそれぞれの役割に集中できるようになります。役割ごとのトレーニングが実施しやすいため、即戦力となる人材の育成にも効果的です。

業務項目を細かく分類し、一部を外部業者にアウトソーシングする方法もあります。

アイデア

内容・効果

総務人員のスキルマップの作成

  • 従業員のスキルを可視化し、最適業務へのアサインや育成に活用

アウトソーシングの活用

  • 定型業務のアウトソーシングにより、自社の従業員は戦略的な業務に注力する

  • 人材管理コストをかけずにリソース不足を解消できる

  • 作業の迅速化・業務品質の向上

業務の標準化

社内で明文化されていない業務を誰でも行えるように改善することで、業務の属人化を防止できます。

業務マニュアルなどを作成する場合は、テキストだけでなく画像や動画も取り入れてわかりやすくしましょう。

アイデア

内容・効果

業務マニュアルの作成

  • 担当者変更時の業務停滞防止

  • 新人教育に要する時間の短縮

  • 作業工程の可視化による業務効率の向上

社内書式の統一

  • 資料作成の時間短縮

総務の業務改善事例3選

実際に総務の業務改善アイデアを取り入れて、成果を上げている事例を3つ紹介します。

  • 事例①アウトソーシングの活用|千葉県船橋市

  • 事例②ワークフローのデジタル化|太陽建機レンタル株式会社

  • 事例③RPAの活用|株式会社システック

本事例を参考にして、自社に取り入れる方法を探ってみてください。

事例①アウトソーシングの活用|千葉県船橋市

千葉県船橋市の国民健康保険課では、勤務時間内の電話・窓口業務量が多く、非定型的業務を勤務時間外に実施している状況でした。

児童家庭課でも法改正などにともなう業務量の増加が予想されていたため、二つの課で業務改善に取り組むことになりました。

取り組みの概要は、国民健康保険関係業務、および児童手当関係業務の外部業者へのアウトソーシングです。

アウトソーシングを活用した結果、国民健康保険課では職員の超過勤務が削減され、ワークライフバランスが改善しました。

児童家庭課でも、予想された業務量の増加に対し、職員を増加することなく安定的に業務が行えるようになりました。

参考:総務省 窓口業務の民間委託にかかる参考事例集

事例②ワークフローのシステム更改|太陽建機レンタル株式会社

太陽建機レンタル株式会社は、長らく「紙文化」が根付いており、あらゆる社内業務で紙の書類が利用されていました。特に多いものでは月間1,000~1,500件の申請があり、承認申請業務に年間数万時間という膨大な時間が費やされていました。

そのため、申請承認業務のペーパーレス化をめざし、ワークフローシステムを導入し、まずは全申請書の3割ほどから運用を始め、その1年後にはほぼすべての承認申請業務のペーパーレス化を実現しました。

再度、導入後に承認申請業務にかかる時間を調査したところ、導入以前の3割程度の業務時間が削減されていることがわかりました。

参考:AgileWorks 太陽建機レンタル株式会社のワークフローシステム導入事例 AgileWorksでほぼすべての承認申請業務をペーパーレス化し申請業務の大幅な効率化を実現

事例③RPAの活用|株式会社システック

株式会社システックは、管理担当者の残業時間の多さが課題でした。社内の事務作業に加えて、月2,000社の顧客に対する発注書作成や請求処理を行っていたからです。

新たな人材雇用は難しかったため、人件費を抑えて業務効率化を図るためにRPAツールを導入しました。

書類の作成をRPAツールに任せ、最終チェックだけ管理部門担当者が行う仕組みを構築したところ、業務負担を大幅に軽減できたのです。

ツール導入後、管理担当者は繁忙期でも20時前には帰宅できていると報告されています。

参考:RPA - Robo-Pat DX(ロボパットDX) ITスキルが低い社員でも、自らのチカラでロボットを完成 ロボパット導入企業の社長が「現場が使いこなせるRPAツールを選ぶべき」と話すワケ

総務の業務改善を実施するための5ステップ

総務の業務改善は次の5ステップで実施します。

  • ステップ1:現状把握

  • ステップ2:課題整理

  • ステップ3:改善策の検討

  • ステップ4:改善計画の策定・実施

  • ステップ5:効果検証

アイデアを実践する前に、業務改善で成果を上げるための正しい準備を行いましょう。

ステップ1:現状把握

業務の要否の判断をするため、一度すべての業務を洗い出して可視化します。

可能な限り業務を細分化することで、問題がないと思っていた業務の課題を発見できる可能性があります。

業務の洗い出しは、Excelなどを利用して各従業員に以下の項目を入力してもらう方法が効果的です。

<主な入力項目>

  • 作業工程

  • 所要時間

  • 時期・頻度

  • 難易度

  • 場所

  • 関連部署と人数

  • 使用ツール

業務の洗い出しが終わったら、適切な体制や人数で業務を運用できているのかを把握できるようにフロー図を作成します。

可能であれば、現状の業務だけでなく「取り組みたいが、取り組めていない業務」の項目や想定工数まで含めて可視化しましょう。理想の組織体制づくりのために必要な要素が明確になります。

ステップ2:課題整理

作成した業務フロー図を見ながら、手間や時間がかかっている業務を抽出します。

課題の洗い出しは「ECRS(イクルス)」のフレームワークがおすすめです。

<ECRSの業務改善4原則>

  • E:Eliminate(排除):業務を行ううえで不要な工程はないか

  • C:Combine(結合):別々に行われている業務を一つにまとめられないか

  • R:Rearrange(交換):業務の順序や場所を変更できないか

  • S:Simplify(簡素化):業務をより単純にできないか

Combineは結合だけでなく分離、Rearrangeは組み替えるだけでなく代替案の検討などが必要な場合もあります。改善の対象によって柔軟に活用してみましょう。

一般的にはE→C→R→Sの順に改善内容を検討・実施することで効果が高まります。

ステップ3:改善策の検討

課題解決のための手段は明確化しておくことが大切です。不必要な対処法や誤ったアプローチを避け、改善策の具体性を高める効果があります。

改善策の検討は、課題解決に適しているかを重視して行いましょう。

例えば業務フロー図を確認した結果、二人の担当者がそれぞれで同じ作業をしていたことが判明したとします。作業の重複は情報共有不足が要因の一つと判断できるため、情報共有を促進するためのツール導入などが改善策として挙げられます。

改善策としてツールやアウトソーシングを導入する際は、以下の視点での検討が重要です。

  • 必要な機能やサービスがそろっているか

  • 既存システムとの連携は可能か

  • 導入コストや運用コストは適切か

  • サポート体制は整っているか

無料トライアルを実施できる場合は、積極的に利用してみることをおすすめします。

改善策の実施にともない費用が発生する場合は、得られる効果も合わせて算出し、費用対効果を確認しておきましょう。

ステップ4:改善計画の策定・実施

改善策を円滑に実施できるよう、完了予定日を定めてスケジュールを組むことが大切です。

改善計画を策定することで、完了までの予定時間と実際に費やした時間を比較でき、進捗確認がしやすくなります。

ステップ5:効果検証

実行した対処方法の効果を振り返り、このまま継続するかどうかを検討します。

改善策は適切か、業務フローに問題はないかなど、改善計画の定期的な見直しが必要です。

業務改善は施策が定着するまでに一定の時間やコストがかかるため、実施してすぐに高い効果が出るわけではないことを念頭に置いておきましょう。

特にツールの導入やアウトソーシングの活用は、一時的に工数が増加する場合もあるため、定着するまで継続的に効果を測定することが望ましいです。

PDCAサイクルを回しながら、長期的な視野で改善策を徐々にブラッシュアップしていきましょう。

総務の業務改善を実施する際の注意点

総務の業務改善を実施する際の主な注意点は次の4つです。

  • 業務改善の目的を社内で共有する

  • 業務改善の実施体制を整える

  • 自社に適した業務改善策を実施する

  • 業務品質を低下させないようにする

業務改善を思ったように進められない場合は、本章で紹介する注意点を意識してみてください。

業務改善の目的を社内で共有する

業務改善の目的が従業員に認知されていない場合、十分な成果が得られない可能性があります。一人ひとりが目的を理解し、取り組みの重要性について納得・共感することが大切です。

研修の開催や朝礼での周知などを行い、生産性向上という業務改善の本来の目的を社内に浸透させることが必要です。

仕事の効率化だけでなく、業績向上のためにできることなど、全社的視点からの積極的な意識改革を従業員に促しましょう。

組織全体で目線を合わせて取り組むことで、業務改善の効果は高まります。

業務改善の実施体制を整える

業務改善を無理なく実施できる体制が整っていなければ、アイデアの効果的な実践は困難です。

多忙な状況で業務改善策を実施すると一時的に負荷がかかり、残業や休日出勤を増やしかねません。

従業員ごとのスキルや業務量などを加味したうえで最適な役割分担を行い、特定の従業員だけに負担が偏らないように注意しましょう。

改善策の優先順位を決め、スモールスタートで取り組むことをおすすめします。一度にすべての改善策を行わず、業務改善を実施するハードルを低く設定してみてください。

自社に適した業務改善策を実施する

取り組みやすさや費用対効果の高さなどの観点から、自社にとって最適な業務改善策を実施しましょう。

例えば、ツールがうまく活用しきれず放置される事態などには注意が必要です。

従業員の声を聞かずにツールを導入すると、操作の難しさや既存システムとの相性の問題により、社内に浸透しない可能性があります。従業員にとっての使いやすさを重視し、導入の意図や使い方の周知、相談対応などを十分に行うことが必要です。

ツールの導入が自社に適さないと判断した場合は、Excelやショートカットの活用など、ツールを導入せずとも実施できる小さな取り組みを行うだけでも効果があります。

自社に適した業務改善策を選び、作業効率を少しずつ高めていくことが大切です。

業務品質を低下させないようにする

効率化を過度に意識すると、業務品質が低下する可能性があるため注意が必要です。

工数削減を求めて作業スピードを上げた結果、一つひとつの業務が中途半端になり、ミスが発生する可能性が高くなることを避ける必要があります。

事前に担当者のスキルや作業時間、使用するツールなどの条件をもとに、タスクの完了見込み時間を把握しておくことが効果的です。

実施した改善策の効果検証を繰り返し行い、丁寧に施策を進めて組織に定着させましょう。

業務品質を維持した状態で工数や負荷の軽減につながるよう、PDCAサイクルを回しながら、時間をかけて改善していく必要があります。

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総務の業務改善で働きやすい環境づくりに取り組もう

総務業務の具体的な改善事例とともに、業務改善のメリットや実施手順、注意点なども合わせて解説してきました。

本記事のまとめは以下のとおりです。

<記事まとめ>

  • 総務は業務量の多さや業務範囲の広さに関わらず人手不足が深刻化しているため、担当者が負担を抱えやすい

  • 総務の業務改善を実施することで担当者の負担が軽減されるほか、戦略的な業務への注力が可能となり企業全体の生産性向上にも寄与する

  • 改善策は書類のペーパーレス化やITツールによる業務の自動化、アウトソーシング活用による業務効率化など多岐にわたるため、自社に適した施策の計画的な実行が大切

総務の役割は、企業全体を円滑に動かすためのさまざまなサポートです。

非効率的な業務を積極的に見直し、効率的かつ戦略的な総務として企業の中枢を担うことで、持続的に成長可能な企業経営の実現につながります。

本記事で紹介した事例を参考にして業務改善を行い、従業員の働きやすさ向上と企業成長の好循環をめざしましょう。