経理

経理業務を効率化する具体的なアイデアを紹介!実施手順、ポイント

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目次

「経理の業務効率化を図りたいが、忙しくてなかなか取り組めない」
「法改正のたびに対応に追われて多くの残業時間が発生している」

このような悩みをお持ちの経理担当者は多いのではないでしょうか。本記事では経理業務を効率化するための具体的なアイデアを紹介します。

実施手順やポイントなども合わせて解説しますので、始めやすい取り組みから実践してみてください。

経理業務の問題点とは


経理業務の問題点は主に次の3つです。

  • 手作業による業務負担が大きい

  • 人件費削減の対象になりやすい

  • 業務が属人化しやすい

経理は企業を支える重要な役割を果たします。担当者個人の問題点として軽視せず、企業全体で真摯に向き合いましょう。

手作業による業務負担が大きい

経理業務における問題点の一つは、手作業による業務負担の増大です。

伝票作成やデータ入力、帳簿管理など多くの作業が手作業で行われるため、時間と労力が大幅に費やされます。

また、手作業では人為的なミスが発生しやすく、正確な処理を維持することが困難です。ミス発生時には修正作業が必要になり、帳票などを一枚ずつ確認し直すといった無駄な作業が生じます。

自動化やデジタル化の促進など、手作業による業務負担を軽減するための改善が必要です。

人件費削減の対象になりやすい

労働力不足などの社会的課題に対応するため、多くの企業でコストの最適化が進められています。経理は直接利益を生み出す部門ではないため、人件費削減の対象となりやすい点も問題点の一つです。

結果として少人数の担当者のみで経理業務を回さなければならず、作業精度の低下や従業員の健康状態の悪化が懸念されています。

限られた人員で業務を正確かつスピーディーに行うためにも、経理業務の効率化は重要です。

業務が属人化しやすい

経理は人手不足問題に加えて、簿記などの専門知識が求められる点から、特定の従業員に業務が集中しやすい部門です。

業務の流れや知識を担当者だけが把握している状態では、担当者以外からは問題点が把握しにくく、業務効率の低下を招く可能性があります。

さらに業務が属人化している場合は、担当者を変更する際の引き継ぎも困難です。

経理業務の停滞は企業全体に影響をおよぼすため、マニュアル作成などで業務を標準化しておく必要があります。

経理業務の効率化に取り組むべき理由


経理業務の課題を解決するためには、効率よく業務を行うための工夫が求められます。

次の3つの理由から経理業務の効率化が重視されています。

  • 定型化できる業務が多い

  • IT技術が進化している

  • 法改正に対応する必要がある

時代の変化に対応し、経理業務の効率化に取り組む意義を理解しましょう。

定型化できる業務が多い

経理業務は請求書処理や支払管理など、定型化できる業務が多く含まれます。定型業務は一定の手順やルールに従って行われるため、自動化や標準化などが比較的容易です。

ツールの導入による入力・集計作業の効率化だけでなく、フローや仕組みを構築することで、チーム全体での業務共有を可能にします。

さらに、定型業務はアウトソーシングにも適しています。人手不足に悩む企業では、必ずしも自社で行う必要がないと判断できる業務をアウトソーシングする選択も効果的です。

IT技術が進化している

IT技術の進化にともない、経理業務の効率化はますます注目されています。

近年は会計のクラウド化が普及し、さまざまなデータをまとめて管理することが可能です。金融機関やクレジットカードと会計ソフトを連携することで、手打ちのデータ入力作業も不要になります。

IT技術によるシステム連携機能が進化する中、経理に求められる取り組みは業務プロセス全体での最適化です。

請求書の回収や支払業務などの個々の業務にとどまらず、一連の流れをすべて自動化できる時代を迎えています。

法改正に対応する必要がある

経理業務の効率化が重視される背景には、インボイス制度と改正電子帳簿保存法の影響があります。

インボイス制度の施行により、請求書や領収書の管理が複雑化しました。経理担当者の業務負担は増大し、すべて手作業で行うことが現実的ではなくなっています。

また、改正電子帳簿保存法の施行により、電子取引における電子データ保存が義務化されました。電子帳簿保存やスキャナ保存の事前承認制度も廃止され、国による経理業務のデジタル化推進の動きは加速化しています。

従来の生産性を落とさずに企業活動を継続させるためには、経理業務を効率化して法改正に適切に対応することが重要です。

経理業務を効率化するメリット


経理業務を効率化するメリットは主に次の5つです。

  • 経理担当者の負担が減り従業員満足度が向上する

  • ヒューマンエラーの軽減につながる

  • コストを削減できる

  • コア業務に注力できる

  • 迅速な経営判断が可能になる

業務負担の大きい経理業務は、効率化することで従業員のモチベーションや品質が向上するなど多くのメリットがあります。

企業の生産性にもプラスの影響をもたらすため、積極的に経理業務の効率化を図りましょう。

経理担当者の負担が減り従業員満足度が向上する

経理業務の効率化によって業務量を平準化することで、従業員の負担が軽減されます。残業や休日出勤の発生を抑えることができるため、ワークライフバランスの推進にも効果的です。

労働環境の改善は従業員満足度の向上を促し、企業イメージの向上・優秀人材の獲得といった好循環を生み出します。

ヒューマンエラーの軽減につながる

経理業務の効率化はヒューマンエラーの軽減につながります。

ITツール・システムの導入により自動化やデジタル化が促進され、手作業での仕事量が減るためです。

また、業務負担の分散により担当者が仕事に余裕を持てるようになり、集中力が上がることも正確性の向上に影響します。

さらにITツール・システムの中には、イレギュラーな数値に対するアラート機能が備わっているものもあり、入力ミスの防止に効果的です。

ヒューマンエラーの軽減により、請求金額の誤りや二重請求などを防ぐことで、取引先からの信用を維持できます。

コストを削減できる

経理業務の効率化はコスト削減にも効果的です。

書類のデジタル化を推進することで、印刷にかかる費用や時間、書類保管スペースなどのコストを削減できます。

また、作業工数の見直しやヒューマンエラーの軽減により、手間のかかっていた業務を短時間で完了できるようになります。残業や休日出勤を軽減することで、人件費も削減可能です。

コア業務に注力できる

効率化し、時間を短縮することで、コア業務に注力できます。

コア業務とは、企業経営において利益に直結する業務のことです。経理の場合は、財務戦略や経費削減施策の立案などが該当します。

コア業務は定型化が難しく、付加価値の高い重要な業務です。

経理業務の効率化により確保した時間とコストは、コア業務に集中させることで企業の持続的な成長を促進します。

迅速な経営判断が可能になる

変化の激しい時代に企業が適応し発展していくためには、経営陣の迅速かつ的確な意思決定が不可欠です。

経理の資料は自社の経営状況を明らかにする客観的なデータであり、経営に関する意思決定をする際の重要な判断材料となります。

一般的には月ごとなどに報告資料をまとめて経営陣に共有しますが、迅速な判断が求められる場合に対応が難しくなる可能性があります。

例えば、重要なデータをクラウド管理に移行し、リアルタイムでのアクセスが可能な状態とすることで、社内の情報共有が円滑化され、必要なタイミングで迅速な経営判断や意思決定が下せるようになります。

経理業務を効率化する方法

経理業務を効率化する方法を6つのカテゴリ別に紹介します。

  • ペーパーレス化の推進

  • キャッシュレス化の推進

  • 書類フォーマットの統一

  • デュアルディスプレイの導入・パソコンの買い替え

  • アウトソーシングの活用

自社の現状に合わせて、取り組みやすい方法を見つけてください。

ペーパーレス化の推進

書類のペーパーレス化により、紙の紛失リスクの減少や発送作業の廃止などから効率化を図るアイデアです。

各種処理の抜け・漏れや計算ミスを防止することで、正確な帳簿管理を維持する効果もあります。

アイデア

内容・効果

クラウド型会計システムの導入

  • 財務データの入力、仕訳、各種帳簿作成の自動化

  • 金融機関との取引データや給与計算データの自動取得・仕訳

  • 決算や各種税金(法人税、源泉所得税、消費税など)の申告までシームレス化

  • インターネットへ接続可能な環境であれば場所や時間を問わずデータアクセス・更新可能

経費精算システムの導入

  • 経費申請と承認作業を電子化

  • スマートフォンでICカードからデータを読み取り、交通費精算を簡略化

  • 領収書内容のデータ入力をOCRにより自動化

Web帳票発行システムの導入

  • 請求データを取り込み、電子請求書へ即時反映

  • 電子請求書を作成し、取引先に自動配信

  • 顧客管理データからワンクリックで請求書を作成

キャッシュレス化の推進

現金精算の廃止により、資金の紛失・盗難や現金過不足の発生を防止することで効率化を図るアイデアです。

ペーパーレス化と合わせて推進することでリモートワークが可能になり、従業員の多様な働き方を促します。

アイデア
内容・効果

法人向けクレジットカードの導入

  • 使用日や使用場所、使用金額を自動記録

デジタル決済システムの導入

  • 電子データの送受信によるオンライン決済

  • 支払履歴のデジタル化

システム連携による支払業務プロセスの自動化

  • インターネットバンキングとカード利用明細の自動連携による経費支払のキャッシュレス化

  • 振込データ作成・消込・記帳を含む一連の業務を自動化

  • 支払業務の抜け・漏れ防止

書類フォーマットの統一

請求書や見積書などのフォーマットを社内で統一することで効率化を図るアイデアです。

請求金額などの記載箇所がフォーマットごとに異なる場合、確認に時間がかかるほか、記入ミスの発生にもつながりかねません。

書類のフォーマットを統一することで、新たに経理業務を担当する人が業務を理解しやすくなり、スムーズな引き継ぎを可能にします。

部署ごとにどのようなフォーマットが使われているか確認したうえで、全社共通のフォーマットに変更できないか検討しましょう。

なお、フォーマットを統一する場合は従業員への周知が必要です。新しいフォーマットを確実に使用してもらうため、十分な教育を行ってください。

デュアルディスプレイの導入・パソコンの買い替え

デュアルディスプレイとは、一台のパソコン本体に対してディスプレイを二台用意することです。

それぞれのディスプレイに異なるファイルを表示することで、ファイルを切り替える手間が省けます。複数のファイルを同時に開いて作業することが多い経理業務では、デュアルディスプレイによる作業効率の向上が期待できます。

ディスプレイの設置スペースを確保できる場合は、導入を検討してみましょう。

また、パソコンの動作の遅さや使いにくさが気になる場合は、購入してから長い年数が経過している可能性があります。高性能パソコンへの買い替えにより、作業スピードや機能性の向上を図ることがおすすめです。

アウトソーシングの活用

記帳業務や帳票処理などは定型化しやすいため、アウトソーシングに適しています。

アウトソーシング業者では専門知識を持つスタッフが高品質かつスピーディーに代行してくれます。法改正にも適切に対応してもらえるため安心です。

また、業務の繁閑にあわせて依頼量を柔軟に調整できるため、業務負担や人件費を最適化しやすいメリットもあります。

取り扱う業務範囲は業者やプランによって異なるため、対応可能な業務を細かく把握したうえで依頼しましょう。

経理業務を効率化するための3ステップ

経理業務を効率化するための取り組みは、正しい手順で行うことが大切です。本章では取り組みの3ステップを解説します。

  • ステップ1|時系列で業務を書き出す

  • ステップ2|業務を細分化し課題を明確化する

  • ステップ3|ECRS(イクルス)の原則で改善策を検討する

取り組みの成果を上げるために、万全の準備を整えましょう。

ステップ1|時系列で業務を書き出す

従業員ごとに、一日の業務の流れを時系列で書き出します。

例)業務の書き出し方

  • 出勤後:メールチェック・預金の入出金管理

  • 午前:振込手続き・請求処理

  • 午後:仕訳・経費精算

  • 退勤前:小口現金の確認・書類の整理

細かい作業までは気にせず、大まかに書き出してください。時系列で書き出すことで、抜け・漏れを防ぎます。

ステップ2|業務を細分化し課題を明確化する

大きなくくりで業務を書き出したら、次は細かい作業を書き出します。ポイントは、行動が見えるレベルまで細分化していくことです。

例)預金の入出金管理

  • 売掛金の入金を確認する

  • 記帳をする

  • 残高を確認する

  • 現金を引き出す

すべて書き出したら、ボトルネックとなっている箇所がないか探します。

例)細分化した業務で発見される課題

  • 工数が多い

  • 確認作業に手間と時間がかかりすぎている

  • 一人に業務負担が偏っている

  • 業務が属人化している

  • 作業担当者が重複している

担当者ごとの確認だけでなく、他の担当者との比較も行うことで、経理業務の課題を明確化しやすくなります。

ステップ3|ECRS(イクルス)の原則で改善策を検討する

明確になった業務内容と課題をもとに、ECRS(イクルス)の原則で改善策を検討します。ECRSの原則とは、以下の4つの観点から業務を見直すフレームワークのことです。

  • 排除(Eliminate):作業をなくせないか

  • 結合(Combine):作業をまとめられないか

  • 交換(Rearrange): 作業の順序などを変えられないか

  • 単純化(Simplify):作業をより簡単にできないか

ECRSの原則を使った場合、例として次のような改善策が挙げられます。

  • 重要度の低い報告書の作成業務は排除する

  • 経費精算は都度ではなく月一回にまとめる

  • 担当者の適性に合わせて配置を入れ替える

  • 繰り返し作成する資料をテンプレート化する

改善策を検討する際には、4つの観点にとどまらない柔軟な発想が大切です。例えばCombineでは、結合だけでなく「分離」の可否も検討してみる必要があります。

決定した改善策は、優先度の高い順に実行しましょう。

経理業務を効率化する際のポイント

経理業務を効率化する際のポイントは次の2つです。

  • ミスが発生する可能性を考慮して対策を打つ

  • 自社に適したツール・アウトソーシングを活用する

経理業務の効率化はすぐに効果が出なくても、以下のポイントを意識したうえで粘り強く取り組む必要があります。

ミスが発生する可能性を考慮して対策を打つ

経理業務は資金管理や企業経営に関する重要な数字を取り扱うため、担当者は業務に対して重い責任を負いがちです。

極度の緊張状態では業務スピードが低下するほか、ストレス性の疲労が原因で離職につながることも懸念されます。

担当者のプレッシャーを緩和して業務効率を上げるためには、ミスが発生する可能性を考慮して対策を打つことが重要です。

担当者一人が負担を抱え込まないよう、二人体制によるチェック機能の充実など、適切な対策を打ちましょう。

ミスをしないという心がけは大切ですが、日々の経理業務をすべて完璧にこなすことは困難です。プレッシャーを感じさせないような環境づくりが、職場の効率化を促進します。

自社に適したツール・アウトソーシングを活用する

ツールやアウトソーシングを活用して経理業務を効率化する場合、注意すべき点が5つあります。

  • 自社が求める業務を自動化(または代行)してもらえるか

  • 既存のツールやシステムと連携できるか

  • 従業員にとって使いやすいか(またはコミュニケーションが取りやすいか)

  • 中長期的な視野において高い費用対効果が見込めるか

  • 導入前後のサポートが手厚いか

以上の注意点を考慮しなかった場合、ツールやアウトソーシングを活用しても期待した効果を得られない可能性があります。

自社のニーズに対応できるツールまたはアウトソーシングを選ぶことが大切です。

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